この男性は現在も喫煙を続けていることから、息子夫婦から、喫煙が健康に及ぼす影響を…
70 歳男性。同居している息子夫婦に付き添われて来局。20 歳の頃より喫煙習慣があり(ブリンクマン指数:1,200)、現在も1 日に10 本程度喫煙している。また職業上の粉じん曝露歴があった。数年前より労作時の息切れが出現し、徐々に症状が悪化したために近医を受診し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断され、以下の処方が出された。(処方)チオトロピウム臭化物吸入用カプセル18 μg 1 回1 カプセル1 日1 吸入 全56 カプセル
この男性は現在も喫煙を続けていることから、息子夫婦から、喫煙が健康に及ぼす影響を父親に説明してほしいとの依頼があった。薬剤師がこの男性に対して行う、「喫煙と健康」に関して説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ COPD の最大のリスク要因は喫煙である。COPDの最大の危険因子は喫煙で、患者の多くに長期の喫煙歴があり、禁煙が最も重要な対策です。
- ⑵ 受動喫煙は虚血性心疾患や脳卒中のリスクを高める心配はない。受動喫煙は虚血性心疾患、脳卒中、肺がんなどのリスクを高めることが科学的に明らかにされています。
- ⑶ たばこの発がん物質は主流煙に多く含まれており、副流煙にはほとんど存在しない。副流煙は低温で不完全燃焼するため、主流煙より多くの発がん物質を含みます。
- ⑷ 能動喫煙の防止を目的として、健康増進法が制定されている。健康増進法は受動喫煙の防止を規定しています。能動喫煙の防止を目的として制定された法律ではありません。
- ⑸ 喫煙によって薬物代謝酵素が誘導され、効果に影響が出る薬もある。喫煙はCYP1A2を誘導するため、テオフィリンなど同酵素で代謝される薬の効果が弱まることがあります。
解説
正解は⑴と⑸です。COPDの最大のリスク要因は喫煙であり、禁煙は病状の進行を遅らせる最も効果的な対策です。また、たばこの煙に含まれる多環芳香族炭化水素はCYP1A2を誘導するため、テオフィリンなどの代謝が促進され、効果が弱まることがあります。逆に禁煙すると血中濃度が上昇する点にも注意が必要です。受動喫煙も虚血性心疾患や脳卒中のリスクを高め、副流煙には主流煙より多くの発がん物質が含まれることも押さえておく必要があります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成