薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ CYP2C19 の遺伝子多型によってオメプラゾールの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが、代謝物のAUC は変化しない。CYP2C19のPMではオメプラゾールのAUCが増大し、同時に5-水酸化体などの代謝物のAUCは減少します。
- ⑵ CYP2D6 の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)では、活性代謝物の血中濃度が高い。デシプラミンの水酸化を担うCYP2D6の活性が低いと、活性代謝物デシプラミンが蓄積して血中濃度が高くなります。
- ⑶ アザチオプリンを使用する前には、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型の診断が行われている。アザチオプリン使用前に検査されるのはNUDT15(チオプリン代謝)の遺伝子多型で、UGT1A1はイリノテカンの検査対象です。
- ⑷ N-アセチル転移酵素(NAT2)には遺伝子多型が存在し、日本人では約10%がイソニアジドのアセチル化反応速度が速い群に属する。日本人ではNAT2の迅速型(およびその中間型)が大部分を占め、遅延型が約10%です。迅速型が約10%というのは逆です。
- ⑸ アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)はPM の頻度に人種差があり、白人と比べて日本人ではPM の出現率が高い。ALDH2の活性欠損型(PM)は日本人を含む東アジア人に多く、白人ではまれなため、出現率に明らかな人種差があります。
解説
正解は⑵と⑸です。イミプラミンはCYP2C19などで活性代謝物のデシプラミンに変換され、デシプラミンはCYP2D6で水酸化されて不活性化されます。そのためCYP2D6のPMでは活性代謝物の血中濃度が高くなります。ALDH2の活性欠損型は東アジア人に多く、白人と比べて日本人での出現率が高いことが知られています。なお、アザチオプリンの使用前に確認されるのはNUDT15やTPMTの遺伝子多型であり、UGT1A1はイリノテカンで調べられる点と区別が必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成