下図はイトラコナゾールカプセル200 mg を健常人男性(21~28 歳)12 …
下図はイトラコナゾールカプセル200 mg を健常人男性(21~28 歳)12 名に経口投与した際の血中濃度(平均値)の時間推移を示す。イトラコナゾールの最高血中濃度はファモチジンとともに服用した場合、53%に減少した。イトラコナゾールの吸収過程におけるファモチジンとの相互作用及びその回避法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。ファモチジンは金属を含まずキレートを形成しません。キレートによる吸収低下は多価金属イオンとの間で起こります。
- ⑵ ファモチジンがP-糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。P-糖タンパク質による分泌が阻害されれば吸収は増加するはずで、吸収低下の説明になりません。
- ⑶ ファモチジンの作用により胃内pH が上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。ファモチジンにより胃内pHが上昇すると、弱塩基性のイトラコナゾールの溶解性が低下して吸収が減少します。
- ⑷ ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。オメプラゾールもプロトンポンプを阻害して胃内pHを上昇させるため、同様に吸収が低下し代替薬になりません。
- ⑸ イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。シクロデキストリンで可溶化された経口液剤は胃内pHの影響を受けにくく、回避法として検討できます。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶と⑸です。イトラコナゾールは弱塩基性で水に極めて溶けにくく、胃酸の酸性条件下で溶解して吸収されます。ファモチジンなどのH2受容体遮断薬で胃内pHが上昇すると、カプセルからの溶解性が低下して吸収が減少し、最高血中濃度が下がります。これを回避するには、シクロデキストリンで可溶化された経口液剤を用いる方法があります。オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬も胃内pHを上昇させるため代替薬にはならず、キレート形成やP-糖タンパク質の阻害は原因ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成