2 種類の染色法を用いて細菌Aについて調べた。染色法1 (グラム染色)では明瞭な…
2 種類の染色法を用いて細菌Aについて調べた。染色法1 (グラム染色)では明瞭な染色像が観察されなかったため、染色法2 (抗酸染色)での染色を行ったところ、染色法2 では陽性であった。染色法1 、2 の染色操作を図に示した。染色法1 染色法2スライドグラスに菌を塗抹 スライドグラスに菌を塗抹乾燥、固定 乾燥、固定クリスタルバイオレット液を滴下 石炭酸フクシン液を滴下2 分間放置 3 ~5 分間加温染色 染色水洗 冷却後、水洗ルゴール液を滴下 塩酸アルコールを滴下(20 秒間)30 秒間放置媒染 脱色 水洗水洗エタノールを滴下(20 秒間) メチレンブルー液を滴下30 秒間放置脱色 水洗 対比染色水洗、乾燥サフラニン液を滴下 顕微鏡で観察2 分間放置対比染色水洗、乾燥顕微鏡で観察細菌Aとこれらの染色法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 細菌Aは、ペプチドグリカン層に加えて染色法1 での染色に抵抗性の細胞壁成分を持っている。細菌Aは抗酸菌で、ペプチドグリカン層に加えてミコール酸などの脂質に富む、グラム染色に抵抗性の細胞壁成分をもちます。
- ⑵ ペプチドグリカン層が厚い細菌では、クリスタルバイオレットとルゴール液でつくられた色素がエタノールで除去される。ペプチドグリカン層が厚いグラム陽性菌では、クリスタルバイオレットとヨウ素の複合体がエタノールで除去されず、青紫色に残ります。
- ⑶ 高級脂肪酸やワックスに富む細胞壁成分を持つ細菌は、染色法2 で染色されない。高級脂肪酸やワックスに富む細胞壁をもつ抗酸菌こそ、染色法2(抗酸染色)で陽性に染まります。
- ⑷ 細菌Aの細胞壁は、融点の低い脂質に富んでおり、加温すると石炭酸フクシンの透過性が増す。抗酸菌の細胞壁はミコール酸など融点の高い脂質に富み、加温することで石炭酸フクシンを浸透させます。
- ⑸ 染色法1 の陽性細菌は青紫色、染色法2 の陽性細菌は赤色に染まる。グラム染色の陽性菌はクリスタルバイオレットで青紫色、抗酸染色の陽性菌は石炭酸フクシンで赤色に染まります。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴と⑸です。グラム染色で染まりにくく抗酸染色で陽性となる細菌Aは、結核菌などの抗酸菌と考えられます。抗酸菌はペプチドグリカン層の外側に、ミコール酸などの高級脂肪酸やワックスに富む細胞壁成分をもつため、通常の染色に抵抗性を示します。抗酸染色では加温により石炭酸フクシンを浸透させ、塩酸アルコールでも脱色されずに赤色に染まります。グラム染色では陽性菌が青紫色、陰性菌がサフラニンで赤色に染まります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成