血友病の治療のために投与された非加熱血液製剤によりHIV 感染が生じた事例に関連…
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染と薬害エイズに関する以下の問いに答えよ。
血友病の治療のために投与された非加熱血液製剤によりHIV 感染が生じた事例に関連する生物学的知識として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 遺伝性血友病はX 連鎖潜性(劣性)遺伝により生じるため、男性に発症しやすい。血友病はX連鎖潜性遺伝で、X染色体を1本しかもたない男性に発症しやすいため、正しい記述です。
- ⑵ 血漿中のHIV は加熱処理しなくても、孔径0.22 μm のメンブレンろ過により除去できる。HIVの粒子径は約100 nmで孔径0.22 μmのフィルターを通過するため、メンブレンろ過では除去できません。
- ⑶ 血液製剤に混入したHIV は、治療を受ける患者のCD8 陽性T リンパ球に感染する。HIVはCD4分子とケモカイン受容体を介して、主にCD4陽性T細胞やマクロファージに感染します。
- ⑷ HIV はレトロウイルスであり、プロウイルス化により感染宿主細胞内で長期間潜伏できる。HIVはレトロウイルスで、逆転写されたDNAが宿主ゲノムに組み込まれたプロウイルスとして長期間潜伏できます。
- ⑸ HIV 感染による症状として、花びらのように分かれた核を持つ特徴的な腫瘍化T 細胞がみられるようになる。花びら状の核をもつ腫瘍化T細胞(flower cell)はHTLV-1による成人T細胞白血病の特徴で、HIV感染によるものではありません。
解説
正解は⑴と⑷です。遺伝性の血友病A・Bは、凝固第Ⅷ因子・第Ⅸ因子の遺伝子がX染色体上にあるX連鎖潜性遺伝のため、X染色体を1本しかもたない男性に発症しやすい疾患です。HIVはRNAを逆転写してDNAとし、宿主ゲノムに組み込まれたプロウイルスとして長期間潜伏できるレトロウイルスです。HIVの粒子は約100 nmと小さく0.22 μmのろ過では除去できず、主にCD4陽性T細胞に感染します。花びら状の核をもつ腫瘍細胞はHTLV-1による成人T細胞白血病の特徴です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成