今回の治療開始後10 日目より、体重増加、発熱、及び呼吸困難が認められた。その際…
32 歳女性。身長166 cm、体重54.0 kg、体表面積1.6 m²。急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)と診断され、入院の上でトレチノイン(内服)、イダルビシン(静注)、シタラビン(静注)による寛解導入療法を施行することになった。入院時の持参薬、検査結果及び既往歴は次のとおりである。(持参薬)クロピドグレル錠75 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)ラベプラゾールNa 錠10 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後(検査結果)白血球3,600/μL、好中球1,000/μL、リンパ球1,300/μL、骨髄球960/μL、単球340/μL、赤血球298 × 10⁴/μL、血小板2.7 × 10⁴/μL、Hb 8.7 g/dL、CRP 2.3 mg/dL、血清アルブミン3.6 g/dL、総コレステロール170 mg/dL、LDL-C 100 mg/dL、TG(トリグリセリド)100 mg/dL、BUN 18 mg/dL、血清クレアチニン0.8 mg/dL、クレアチニンクリアランス86 mL/min(既往歴)26 歳時に逆流性食道炎、30 歳時に軽度脳梗塞(軽快)
今回の治療開始後10 日目より、体重増加、発熱、及び呼吸困難が認められた。その際の対処として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 寛解導入療法薬を休薬する。分化症候群が疑われるため、トレチノインなどの寛解導入療法薬を休薬します。
- ⑵ メチルプレドニゾロンを投与する。分化症候群にはメチルプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを速やかに投与します。
- ⑶ シクロホスファミドを投与する。シクロホスファミドはアルキル化薬で、分化症候群の治療には用いません。
- ⑷ メトトレキサートを投与する。メトトレキサートは代謝拮抗薬で、分化症候群の治療には用いません。
- ⑸ イマチニブを投与する。イマチニブは慢性骨髄性白血病などのBCR-ABL阻害薬で、APLの分化症候群には用いません。
解説
正解は⑴と⑵です。トレチノインによる寛解導入療法の開始後に、体重増加、発熱、呼吸困難が現れた場合は、白血病細胞の分化に伴うサイトカインの放出などで起こる分化症候群(APL分化症候群)が強く疑われます。重篤化すると呼吸不全や腎不全に至るため、トレチノインなどの寛解導入療法薬を休薬し、副腎皮質ステロイドのメチルプレドニゾロンやデキサメタゾンを速やかに投与します。シクロホスファミド、メトトレキサート、イマチニブはこの病態の治療には用いない薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成