処方された薬剤の使用に際し、考慮すべき薬物相互作用の発現機序として最も適切なのは…
30 歳男性。身長165 cm、体重55 kg。急性骨髄性白血病のため6 ヶ月前に父親をドナーとして同種造血幹細胞移植を受け、術後1 ヶ月で退院した。慢性移植片対宿主病(GVHD)のコントロール目的に以下の薬剤を継続服用している。(処方1 )プレドニゾロン錠5 mg 朝4 錠、昼2 錠(1 日6 錠)1 日2 回 朝昼食後 7 日分(処方2 )タクロリムスカプセル1 mg 1 回2 カプセル(1 日4 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 7 日分(処方3 )ボリコナゾール錠50 mg 1 回3 錠(1 日6 錠)1 日2 回 朝夕食後2 時間 7 日分
処方された薬剤の使用に際し、考慮すべき薬物相互作用の発現機序として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 小腸P-糖タンパク質に対する競合阻害P糖タンパク質を介した相互作用も一部ありえますが、最も重要な機序はCYP3A4の阻害です。
- ⑵ CYP2C19 に対する競合阻害ボリコナゾールはCYP2C19で代謝されますが、併用薬との相互作用で最も重要なのはCYP3A4の阻害です。
- ⑶ ヘム鉄への配位結合によるCYP3A4 の阻害ボリコナゾールのアゾール窒素がヘム鉄に配位してCYP3A4を阻害し、タクロリムスの血中濃度を上げます。
- ⑷ 核内受容体を介したCYP1A2 の誘導CYP1A2の誘導は喫煙などで起こる機序で、今回の処方薬の組み合わせには当てはまりません。
- ⑸ 核内受容体を介したCYP3A4 の誘導CYP3A4の誘導はリファンピシンなどの機序で、ボリコナゾールはCYP3A4を阻害します。
解説
正解は⑶です。ボリコナゾールはトリアゾール系抗真菌薬で、分子中のトリアゾール環の窒素原子がシトクロムP450のヘム鉄に配位結合し、CYP3A4などを強く阻害します。タクロリムスは主にCYP3A4で代謝されるため、併用により血中濃度が大きく上昇し、腎障害などの副作用のおそれがあります。添付文書でもタクロリムスの減量と血中濃度の監視が求められています。プレドニゾロンもCYP3A4の基質で影響を受けます。P糖タンパク質の競合阻害やCYPの誘導は、この組み合わせで最も重要な機序とはいえないと考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成