この女性の相談をきっかけに、薬局が開催する地域住民向け健康セミナーで糖質制限のこ…
22 歳女性。身長160 cm、体重63 kg。女性は肥満と体脂肪率が高いことを気にしており、糖質制限ダイエットによる摂取エネルギー制限が肥満予防に有用であると考えていた。インターネットや書籍の情報を基に糖質制限ダイエットを始めたが、過度の糖質制限は体に良くないと友人から聞き、不安になって近所の薬局を訪れて薬剤師に相談した。
この女性の相談をきっかけに、薬局が開催する地域住民向け健康セミナーで糖質制限のことを取り上げることになり、薬局内で勉強会を行った。糖質制限が糖質、タンパク質及び脂質の代謝に及ぼす影響に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 糖質制限を行うと、膵臓からインスリン分泌が亢進する。糖質制限で血糖が低くなると、インスリン分泌は低下します。
- ⑵ 糖質の摂取不足により血中グルコース濃度の低下が起こると、アミノ酸、乳酸、グリセロールのいずれからもグルコースが作られる。血糖が下がると糖新生が亢進し、アミノ酸、乳酸、グリセロールからグルコースが作られます。
- ⑶ 糖質制限が続くと、肝臓で遊離脂肪酸の β 酸化が亢進し、大量に生成したアセチルCoA からケトン体が産生される。肝臓での脂肪酸のβ酸化で大量に生成したアセチルCoAから、ケトン体が産生されます。
- ⑷ 肝臓のグリコーゲンは、糖質制限状態ではエネルギー源としては利用されない。肝臓のグリコーゲンは糖質制限の初期に分解され、血糖維持のエネルギー源として利用されます。
- ⑸ 脳や神経系の細胞は、グルコースを細胞内に貯蔵しているため、糖質制限の影響を受けにくい。脳や神経細胞はグルコースをほとんど貯蔵できないため、血糖の低下の影響を受けやすいです。
解説
正解は⑵と⑶です。糖質の摂取が不足して血糖が下がると、肝臓などで糖新生が亢進し、筋肉由来のアミノ酸、嫌気的解糖でできる乳酸、脂肪分解で生じるグリセロールからグルコースが作られます。糖質制限が続くと脂肪組織から遊離脂肪酸が動員され、肝臓でのβ酸化で大量に生じたアセチルCoAからケトン体が作られます。糖質制限ではインスリン分泌は低下し、肝臓のグリコーゲンは最初に分解されて血糖維持に使われます。脳はグルコースを貯蔵できないため糖質制限の影響を受けやすく、ケトン体も利用します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成