今後の薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。
70 歳男性。1 ヶ月前より両手の関節の痛みと腫れが出現し、家族とともに病院の整形外科を受診し、医師より精密検査のための入院を勧められた。検査の結果、軽度の関節リウマチとの診断を受けた。メトトレキサートによる治療を開始したが、肝機能障害が出現し、以下の処方へ変更となった。(処方1 )ブシラミン錠100 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 7 日分2 週間後、薬剤師が服薬指導で患者の病室を訪問したところ、「食事が美味しくない、味があまりしない。」との訴えがあり、食事の摂取量も減少していることが分かった。薬剤師はブシラミン錠による薬剤性味覚異常の可能性を考え、医師へ血清亜鉛濃度の測定を依頼した。臨床検査値:血清亜鉛 65 μg/dL(基準値:80~130 μg/dL)医師は臨床検査値の結果を踏まえ、以下の処方を追加した。(処方2 )酢酸亜鉛水和物錠25 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分
今後の薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 味覚異常の原因薬剤と考えられるブシラミン錠の継続の可否について医師に確認する。適切な対応です。味覚異常の原因薬剤と考えられるブシラミンの継続の可否を医師と相談します。
- ⑵ 味覚障害には口内炎や口腔内乾燥を伴うこともあるため、これらの症状について患者に確認する。適切な対応です。味覚障害には口内炎や口腔乾燥を伴うことがあり、これらの確認は必要です。
- ⑶ 亜鉛濃度が過剰にならないように、定期的な血清亜鉛濃度の測定を医師に依頼する。適切な対応です。亜鉛の過剰を防ぐため、定期的に血清亜鉛濃度を測定します。
- ⑷ 患者に対して、処方2 に加えて亜鉛サプリメントを摂取する場合には、医師あるいは薬剤師に相談するように指導する。適切な対応です。サプリメントの併用で亜鉛が過剰にならないよう、相談するよう指導します。
- ⑸ 亜鉛の補充により銅の吸収が増強され銅過剰症を起こすおそれがあると医師に情報提供を行う。適切でない対応です。亜鉛補充は銅の吸収を低下させるため、起こるおそれがあるのは銅欠乏症です。
解説
正解は⑸です。亜鉛を補充すると、腸管上皮でメタロチオネインが誘導され、銅がこれに結合して吸収が妨げられるため、銅の吸収は低下し、銅欠乏による貧血や白血球減少を起こすおそれがあります。銅過剰症ではないので、この情報提供は適切ではありません。そのほかの対応は適切で、原因と考えられるブシラミンの継続の可否を医師と相談し、口内炎や口腔乾燥の有無を確認します。また血清亜鉛濃度の定期測定を依頼し、サプリメントとの重複による過剰摂取を防ぐ指導も大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成