63 歳男性。体重58 kg。頻脈性不整脈を契機に発症したうっ血性心不全に対し、…
63 歳男性。体重58 kg。頻脈性不整脈を契機に発症したうっ血性心不全に対し、先月より開始した処方1 に処方2 が今回追加されることとなり、3 日後と8 日後の診察が予約された。処方2 開始当日朝の検査値等は以下のとおりであった。(処方1 )ピルシカイニド塩酸塩カプセル50 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 30 日分(処方2 )ジゴキシン錠0.25 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)スピロノラクトン錠25 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(検査値及び所見)血清中ピルシカイニド濃度0.5 μg/mL、クレアチニンクリアランス90 mL/min、K 4.0 mEq/L、血圧140/92 mmHg、心電図異常なしピルシカイニド、ジゴキシンの有効血中濃度域は、それぞれ0.2~0.9 μg/mL、0.5~1.5 ng/mL、本患者における消失半減期はそれぞれ5 時間、36 時間とする。以下の記述のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ ジゴキシン追加にあたり、患者の消化器症状に注意する。悪心や食欲不振などの消化器症状はジゴキシン中毒の初期症状で、注意するのは適切です。
- ⑵ 3 日後の診察時にジゴキシンの治療薬物モニタリング(TDM)を実施する。半減期36時間では3日後にはまだ定常状態に達しておらず、TDM の時期として不適切です。
- ⑶ スピロノラクトンが併用されているためジゴキシンの血中濃度上昇に注意を払う。スピロノラクトンはジゴキシンの腎排泄を低下させ血中濃度を上げることがあり、注意するのは適切です。
- ⑷ ピルシカイニドのTDM は月に1 回程度とする。ピルシカイニドはすでに定常状態にあり有効域内なので、月1回程度の TDM は適切です。
- ⑸ 血清カリウム濃度の上昇に注意する。スピロノラクトンはカリウム保持性利尿薬のため、血清カリウム値の上昇に注意するのは適切です。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。ジゴキシンの半減期はこの患者で36時間なので、定常状態に達するにはその4〜5倍の約6〜8日が必要です。そのため、TDM は定常状態に達した8日後の診察時に行うのが適切で、3日後では評価できません。ジゴキシンでは悪心などの消化器症状が中毒の初期症状として重要で、スピロノラクトンの併用により血中濃度が上昇することがあり、血清カリウム値の上昇にも注意します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成