トラスツズマブ エムタンシン製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
54 歳女性。体重60 kg。腋窩リンパ節転移が著明な進行性乳がんと診断され、トラスツズマブを含む化学療法を継続していた。最近の画像検査にて肝転移を認めたため、以下の化学療法を施行することとなった。薬品名 投与経路 投与時間①生理食塩液50 mL 点滴静注 5 分② トラスツズマブ エムタンシン(注)3.6 mg/kg + 生理食点滴静注 90 分塩液250 mL③生理食塩液50 mL 点滴静注 5 分1 クールの日数:21 日(注) トラスツズマブに抗がん薬DM1 が結合した構造を有する薬剤で、白色の塊である。
トラスツズマブ エムタンシン製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 有効成分は、分子標的薬である核酸医薬と抗がん薬DM1 が結合した核酸薬物複合体である。有効成分は核酸医薬ではなく、抗 HER2 抗体と DM1 が結合した抗体薬物複合体です。
- ⑵ 有効成分は、ヒト上皮増殖因子と抗がん薬DM1 が結合したタンパク質薬物複合体である。DM1 が結合しているのはヒト上皮増殖因子ではなく、抗 HER2 モノクローナル抗体です。
- ⑶ 有効成分は、点滴静注後、ヒト上皮増殖因子受容体2 型(HER2)を標的として抗がん薬DM1 を能動的にターゲティングする。抗体部分が HER2 を標的として、DM1 をがん細胞に能動的にターゲティングします。
- ⑷ 有効成分が細胞内に取り込まれた後、リソソーム内で抗がん薬DM1 を遊離する。細胞内に取り込まれた後、リソソームで分解されて DM1 が遊離します。
- ⑸ 有効成分が細胞膜上の受容体に結合した後、遊離した抗がん薬DM1 が細胞膜に傷害を引き起こす。DM1 は細胞内で遊離して微小管を阻害するもので、細胞膜に傷害を起こすのではありません。
解説
正解は⑶と⑷です。トラスツズマブ エムタンシンは、抗 HER2 ヒト化モノクローナル抗体のトラスツズマブに、微小管阻害作用をもつ DM1 をリンカーで結合させた抗体薬物複合体です。抗体部分が HER2 を標的として能動的にがん細胞に結合し、エンドサイトーシスで細胞内に取り込まれた後、リソソームで分解されて DM1 が遊離し、微小管の重合を阻害して細胞死を起こします。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成