調べた結果、術後化学療法後に卵巣機能が回復している場合、タモキシフェンに薬物Aを…
48 歳女性。月経あり。乳がん(ER 及びPgR 陽性、HER2 陰性)と診断され左乳房部分切除及び腋窩リンパ節郭清術を受けた。術後化学療法として、シクロホスファミド600 mg/m²、エピルビシン100 mg/m² を3 週毎に4 サイクルを終了し、パクリタキセル80 mg/m² を3 週投与、1 週休薬の4 サイクルを開始している。卵巣機能は回復しており、術後化学療法終了後にタモキシフェンによる治療を検討中であるが、本患者においてはタモキシフェンと他剤との併用療法も選択可能である。担当薬剤師は3 次資料を用いて、タモキシフェン単独療法と他剤との併用療法の有用性を調査することにした。
調べた結果、術後化学療法後に卵巣機能が回復している場合、タモキシフェンに薬物Aを併用することが推奨されていた。なお、薬物Aは、この患者で術後化学療法として用いられた薬物とは作用機序が異なるものであった。薬物Aの作用機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 微小管タンパク質の脱重合を阻害して、細胞分裂を抑制する。微小管の脱重合を阻害するのは、術後化学療法で用いたパクリタキセルの機序です。
- ⑵ DNA の塩基対にインターカレーションして、DNA 依存性RNA ポリメラーゼを阻害する。DNA にインターカレートするのは、術後化学療法で用いたエピルビシンの機序です。
- ⑶ エストロゲン受容体に結合して、内因性のエストロゲンと競合し抗腫瘍作用を発揮する。エストロゲン受容体でエストロゲンと競合するのはタモキシフェン自体の機序です。
- ⑷ DNA をアルキル化して、DNA 合成を阻害する。DNA をアルキル化するのは、術後化学療法で用いたシクロホスファミドの機序です。
- ⑸ 持続的な性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体の刺激により脱感作を引き起して、ゴナドトロピンの遊離を抑制する。LH-RH アゴニストは GnRH 受容体の脱感作によりゴナドトロピンの遊離を抑え、卵巣機能を抑制します。
解説
正解は⑸です。閉経前でホルモン受容体陽性の乳がんで、術後化学療法後に卵巣機能が回復している場合は、タモキシフェンに LH-RH アゴニスト(ゴセレリンやリュープロレリン)を併用して卵巣からのエストロゲン産生を抑えることが推奨されています。LH-RH アゴニストは GnRH 受容体を持続的に刺激して脱感作を起こし、ゴナドトロピンの遊離を抑制します。ほかの選択肢は、化学療法に用いた薬やタモキシフェン自体の機序です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成