処方1 及び2 のいずれかの薬物に期待される効果の機序はどれか。2つ選べ。
45 歳男性。体重45 kg。10 年前に全結腸型潰瘍性大腸炎と診断され、寛解・再燃を繰り返した後、メサラジン1,500 mg/日、アザチオプリン50 mg/日で寛解維持されていた。2 ヶ月前より大腸炎が再燃し、上の処方で効果不十分であったため、以下の処方にて寛解導入することになった。(処方1 )タクロリムスカプセル1 mg 1 回1 カプセル(1 日2 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 3 日分(処方2 )アダリムマブ(遺伝子組換え)皮下注80 mg ペン0.8 mL 1 回160 mg2 本(1 回分)
処方1 及び2 のいずれかの薬物に期待される効果の機序はどれか。2つ選べ。
- ⑴ TNF-α に結合して、TNF-α とその受容体の結合を阻害する。アダリムマブは TNF-α に結合し、TNF-α とその受容体の結合を阻害します。
- ⑵ ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害して、サイトカイン受容体を介した細胞内情報伝達を抑制する。JAK を阻害するのはトファシチニブなどで、処方1・2 の薬物の機序ではありません。
- ⑶ ロイコトリエンの産生を阻害して、白血球の組織への浸潤を抑制する。ロイコトリエンの産生阻害はメサラジンの作用の一つとされ、処方1・2 の薬物の機序ではありません。
- ⑷ プリン塩基の合成を阻害して、リンパ球の増殖を抑制する。プリン塩基の合成を阻害するのはアザチオプリンなどで、処方1・2 の薬物の機序ではありません。
- ⑸ カルシニューリンを阻害して、T 細胞におけるIL-2 などのサイトカイン産生を抑制する。タクロリムスはカルシニューリンを阻害し、T 細胞での IL-2 などのサイトカイン産生を抑制します。
解説
正解は⑴と⑸です。処方2 のアダリムマブは完全ヒト型の抗 TNF-α モノクローナル抗体で、TNF-α に結合してその受容体への結合を阻害し、腸管の炎症を抑えます。処方1 のタクロリムスは FKBP12 と複合体を形成してカルシニューリンを阻害し、T 細胞での IL-2 などのサイトカイン産生を抑制します。JAK 阻害はトファシチニブ、プリン合成阻害はアザチオプリンなどの機序です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成