副作用モニタリングを目的に、薬剤師が患者と面談を行ったところ、患者から「昨晩は食…
40 歳女性。体重50 kg。1 週間前に腎移植の手術を受け、以下の処方により治療を受けている。(処方1 )ネオーラル®(注)50 mg カプセル 1 回2 カプセル(1 日4 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 7 日分(注:シクロスポリン)(処方2 )ミコフェノール酸モフェチルカプセル250 mg1 回4 カプセル(1 日8 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 7 日分(処方3 )プレドニゾロン錠5 mg 1 回2 錠(1 日4 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分
副作用モニタリングを目的に、薬剤師が患者と面談を行ったところ、患者から「昨晩は食欲がなく夕食をとらずに服用したが大丈夫ですか」と相談があった。シクロスポリンの血中トラフ濃度は、昨日は211 ng/mL であったが本日は198 ng/mLであった。薬剤師の対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 処方1 は食事の影響が大きいので、剤形をカプセル剤から内用液剤へ変更するよう主治医に提案する。ネオーラルは食事の影響が小さく、血中濃度も保たれているため、剤形変更の必要はありません。
- ⑵ 食事ができない時は処方1 を服用しないよう患者に伝える。移植後の拒絶反応を防ぐため、食事がとれなくても免疫抑制薬の服用は中止しないよう伝えます。
- ⑶ シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2 を増量するよう主治医に提案する。シクロスポリンの血中濃度は保たれており、ミコフェノール酸モフェチルを増量する必要はありません。
- ⑷ 食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える。グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害してシクロスポリンの血中濃度を上げるため、飲用は避けます。
- ⑸ シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える。トラフ濃度はほぼ変わっておらず、食事による影響は小さいので心配いらないと伝えるのが適切です。
解説
正解は⑸です。ネオーラルはマイクロエマルション製剤で、旧製剤に比べて胆汁酸の影響を受けにくく、食事の有無による吸収の変動が小さくなっています。実際に、トラフ濃度は昨日211 ng/mL、本日198 ng/mLとほぼ同程度に保たれており、夕食を抜いた影響は小さいと判断できます。したがって心配いらないと伝えるのが適切です。食事がとれなくても免疫抑制薬の服用は中止せず、グレープフルーツジュースはCYP3A4阻害により血中濃度を不安定にするため避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成