この患者で起こった中毒及びその治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ…
34 歳男性。仕事中に不凍液を誤飲した。数時間後、下腹部痛、下痢、嘔気、嘔吐を伴い、救急外来を受診したところ、徐々に意識レベルが低下してきた。血中エチレングリコール濃度を測定したところ50 mg/dL であり、血液検査と血液ガス分析結果は以下のとおりであった。血清クレアチニン値:1.8 mg/dL血液ガス分析の結果: pH 7.01、PaO2 99 mmHgPaCO2 32 mmHg、HCO3⁻ 7.8 mEq/L
この患者で起こった中毒及びその治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ エチレングリコールは、主として肝臓でアルコール脱水素酵素及びアルデヒド脱水素酵素により代謝される。エチレングリコールは主に肝臓でアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素により代謝されます。
- ⑵ エチレングリコールは、主として肝臓のシトクロムP450 により代謝される。エチレングリコールの主な代謝酵素はアルコール脱水素酵素で、CYPではありません。
- ⑶ エチレングリコールの代謝により生成するグリコール酸は、カルシウムと結合して不溶性となり、尿細管に沈着して腎臓を障害する。カルシウムと結合して不溶性のシュウ酸カルシウムとなり腎臓を障害するのは、グリコール酸ではなくシュウ酸です。
- ⑷ 炭酸水素ナトリウムは、エチレングリコールの代謝物による代謝性アシドーシスを補正する。炭酸水素ナトリウムは、グリコール酸などの酸性代謝物による代謝性アシドーシスを補正します。
- ⑸ ホメピゾールは、肝臓のアルデヒド脱水素酵素を阻害することにより、エチレングリコールを解毒する。ホメピゾールはアルデヒド脱水素酵素ではなく、アルコール脱水素酵素を阻害して解毒します。
解説
正解は⑴と⑷です。エチレングリコールは主に肝臓でアルコール脱水素酵素によりグリコールアルデヒドに、さらにアルデヒド脱水素酵素によりグリコール酸に代謝され、最終的にシュウ酸が生じます。グリコール酸などの酸性代謝物が代謝性アシドーシスを起こすため、炭酸水素ナトリウムで補正します。カルシウムと結合して不溶性の結晶となり尿細管を障害するのはシュウ酸です。ホメピゾールはアルコール脱水素酵素を阻害する薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成