甲状腺とその機能に関与するホルモンに対し処方薬がもたらす変化として正しいのはどれ…
33 歳女性。夫と2 歳の娘との3 人暮らし。2 年前に慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されて経過観察していたが、最近、疲れやすさ、皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れるようになった。病院で検査を受けた結果、今回から薬物治療が開始になり、検査値が記載された処方箋を薬局に持参した。(処方)レボチロキシンナトリウム水和物錠25 μg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分(検査値)甲状腺刺激ホルモン(TSH)20.2 μU/mL遊離トリヨードサイロニン(FT3)1.2 pg/mL遊離サイロキシン(FT4)0.5 ng/dL
甲状腺とその機能に関与するホルモンに対し処方薬がもたらす変化として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 甲状腺濾胞細胞による血液中のヨウ化物イオンの取り込みが亢進する。補充によりTSHが低下するため、甲状腺濾胞細胞によるヨウ化物イオンの取り込みは亢進しません。
- ⑵ 処方薬が、徐々に代謝されて生じるT3 により、甲状腺の機能が持続的に補われる。レボチロキシン(T4)は徐々に脱ヨウ素化されてT3となり、甲状腺の機能を持続的に補います。
- ⑶ 甲状腺濾胞からのT4 分泌が増強される。負のフィードバックでTSHが低下するため、甲状腺からのT4分泌はむしろ抑えられます。
- ⑷ 血中のTSH 濃度が低下する。甲状腺ホルモンの補充による負のフィードバックで、血中TSH濃度は低下します。
- ⑸ 血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)濃度が上昇する。負のフィードバックにより、視床下部からのTRHの分泌は抑えられます。
解説
正解は⑵と⑷です。レボチロキシンは合成T4製剤で、体内で脱ヨウ素化されて活性の高いT3に徐々に変換され、血中半減期が約1週間と長いため甲状腺ホルモンの作用を持続的に補います。甲状腺ホルモンが補充されると、視床下部と下垂体への負のフィードバックが働き、TRHとTSHの分泌が抑えられて血中TSH濃度が低下します。TSHが下がるため、甲状腺でのヨウ化物イオンの取り込みや自前のT4分泌はむしろ抑えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成