この患者に起きていると考えられる生体内変化はどれか。2つ選べ。
75 歳男性。3 年前にパーキンソン病と診断され、レボドパ100 mg・カルビドパ配合錠 1 日3 錠、トリヘキシフェニジル塩酸塩錠2 mg 1 日3 錠で薬物治療を継続していた。3 ヶ月前にレボドパ100 mg・カルビドパ配合錠が1 日5 錠に増量になり(処方1 )、さらに、今回から処方3 が追加になった。処方2 は、用法・用量の変更はなく継続中である。(処方1 )レボドパ100 mg・カルビドパ配合錠 1 回1 錠(1 日5 錠)1 日5 回7 時、10 時、13 時、16 時、20 時 14 日分(処方2 )トリヘキシフェニジル塩酸塩錠2 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 14 日分(処方3 )プラミペキソール塩酸塩水和物徐放錠0.375 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分
この患者に起きていると考えられる生体内変化はどれか。2つ選べ。
- ⑴ 黒質から線条体に至るドパミン作動性神経の変性が進行した。治療薬の増量が必要になっており、黒質線条体のドパミン作動性神経の変性が進行したと考えられます。
- ⑵ 線条体におけるコリン作動性神経からのアセチルコリン放出が減少した。ドパミンによる抑制が弱まるため、コリン作動性神経からのアセチルコリン放出はむしろ増加します。
- ⑶ 線条体で放出されたドパミンの分解が低下した。病態としてドパミンの分解が低下するわけではなく、ドパミンの産生・放出そのものが減少しています。
- ⑷ 線条体におけるコリン作動性神経のドパミンによる抑制が減弱した。ドパミンが減少すると、線条体のコリン作動性神経に対するドパミンの抑制が弱まります。
- ⑸ 末梢血液中のドパ脱炭酸酵素活性が低下した。末梢のドパ脱炭酸酵素はカルビドパで阻害されていますが、病態として酵素活性が低下したわけではありません。
解説
正解は⑴と⑷です。パーキンソン病は、黒質から線条体に投射するドパミン作動性神経が変性・脱落する疾患で、レボドパの増量や追加治療が必要になったことは、この変性が進行したことを示しています。線条体ではドパミンがコリン作動性神経を抑制していますが、ドパミンが減るとこの抑制が弱まり、相対的にアセチルコリンの働きが強くなります。抗コリン薬のトリヘキシフェニジルが使われているのはこのためです。ドパミン分解や末梢の酵素活性の変化は考えにくいです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成