薬剤師は患者からの聞き取りで、ときどき市販の胃腸薬(スクラルファート含有)やサプ…
33 歳女性。夫と2 歳の娘との3 人暮らし。2 年前に慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されて経過観察していたが、最近、疲れやすさ、皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れるようになった。病院で検査を受けた結果、今回から薬物治療が開始になり、検査値が記載された処方箋を薬局に持参した。(処方)レボチロキシンナトリウム水和物錠25 μg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分(検査値)甲状腺刺激ホルモン(TSH)20.2 μU/mL遊離トリヨードサイロニン(FT3)1.2 pg/mL遊離サイロキシン(FT4)0.5 ng/dL
薬剤師は患者からの聞き取りで、ときどき市販の胃腸薬(スクラルファート含有)やサプリメント(鉄分含有)を服用することがあり、便秘予防にひじきなどの海藻類をよく食べるとの情報を得た。患者への指導として誤っているのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 薬物治療を行っている間は、海藻類を積極的に摂取してください。ヨウ素の過剰摂取は橋本病の甲状腺機能低下を悪化させることがあるため、積極的な摂取を勧めるのは誤りです。
- ⑵ 処方薬服用中であっても妊娠を避ける必要はありません。甲状腺ホルモンは妊娠の維持にも必要で、レボチロキシン服用中でも妊娠を避ける必要はなく、正しい指導です。
- ⑶ 処方薬の影響で、脈が速くなることがあります。甲状腺ホルモンの作用が強く出ると頻脈や動悸が現れることがあるので、正しい指導です。
- ⑷ 処方薬とスクラルファート含有胃腸薬を併用する場合は、服用間隔をできるだけあけてください。スクラルファートはレボチロキシンの吸収を妨げるため、服用間隔をあけるのは正しい指導です。
- ⑸ 処方薬と鉄分含有サプリメントを併用する場合は、同時に服用しないでください。鉄剤はレボチロキシンと結合して吸収を低下させるため、同時に服用しないのは正しい指導です。
解説
正解は⑴です。橋本病の患者が昆布やひじきなどヨウ素を多く含む海藻類を過剰にとると、甲状腺ホルモンの合成がかえって抑えられ(ウォルフ・チャイコフ効果)、甲状腺機能低下症が悪化することがあります。そのため積極的な摂取を勧めるのは誤りで、とりすぎに注意するよう指導します。レボチロキシンは妊娠中も継続でき、過量では頻脈が現れることがあります。スクラルファートや鉄剤は消化管でレボチロキシンと結合して吸収を妨げるため、服用間隔をあけます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成