本症例において、注意する事項として正しいのはどれか。2つ選べ。
76 歳男性。体重50 kg。高血圧と心不全により入院となり、処方1 が開始となった。入院時のeGFR は23.9 mL/min/1.73 m² であったが、尿量が増加し浮腫も徐々に改善して、状態も安定してきた。1 週間後、便秘に対し処方2 が開始となった。さらに1 週間後、血清カリウム値が5.6 mEq/L と上昇したため、経口ゼリー剤Aを追加した。(処方1 )フロセミド錠40 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)テルミサルタン錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)ビソプロロールフマル酸塩錠2.5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)ジゴキシン錠0.125 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)エドキサバントシル酸塩水和物錠30 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 7 日分(処方2 )酸化マグネシウム錠330 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 7 日分
本症例において、注意する事項として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 経口ゼリー剤Aを服用し忘れた場合、次回2 回分服用する。飲み忘れた場合でも、2回分をまとめて服用してはいけません。過量となり低カリウム血症などの原因になります。
- ⑵ 経口ゼリー剤A服用後、一度開封して残ったゼリーは冷所に保存する。経口ゼリー剤は1回使い切りの製剤で、開封後に残ったものを保存して使うことは想定されていません。
- ⑶ ジゴキシン中毒に注意する。カリウム吸着薬で血清カリウムが下がりすぎると、ジゴキシンの作用が強まり中毒を起こしやすくなります。
- ⑷ PT-INR 値で出血の危険性をモニターする。エドキサバンは直接Xa阻害薬で、PT-INRは抗凝固効果の指標として用いられません。
- ⑸ 排便状況を確認する。ポリスチレンスルホン酸カルシウムは便秘や腸閉塞を起こすことがあるため、排便状況を確認します。
解説
正解は⑶と⑸です。経口ゼリー剤Aはポリスチレンスルホン酸カルシウムで、腸管内でカリウムを吸着して高カリウム血症を改善します。効きすぎて低カリウム血症になると、ジゴキシンの作用が強まりジギタリス中毒を起こしやすくなるため注意が必要です。また腸閉塞や便秘を起こすことがあり、排便状況の確認が大切です。飲み忘れても2回分を服用せず、開封後は残さず服用します。エドキサバンの出血リスクはPT-INRではモニターできません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成