58歳の男性。鉛を扱う工場で長く働いてきたこの男性に、貧血と腹痛、手の伸筋の麻痺…
58歳の男性。鉛を扱う工場で長く働いてきたこの男性に、貧血と腹痛、手の伸筋の麻痺がみられた。この男性に起きている健康障害の仕組みとして、正しいのはどれか。
- ⑴ コリンエステラーゼを阻害して、縮瞳や流涎、徐脈などのコリン作動性の症状を起こす。これは有機リン系の農薬などの中毒の特徴です。
- ⑵ 主に腎臓の尿細管を障害し、カルシウムの再吸収が落ちて骨軟化症を起こす。これはカドミウムによる慢性中毒の特徴です。
- ⑶ ヘムの合成の酵素を阻害して貧血を起こし、尿中のδ-アミノレブリン酸が増える。鉛はδ-アミノレブリン酸脱水酵素などを阻害し、ヘムの合成を妨げます。
- ⑷ 脂溶性が高く、主に肝臓で代謝されて活性化されたのちに強い毒性を示す。鉛は金属で、肝臓での代謝的な活性化によって毒性を示すのではありません。
- ⑸ 皮膚の色素の沈着と角化を起こし、末梢の血管の障害から黒足病の原因となる。これはヒ素による慢性中毒の特徴です。
解説
正解は、ヘムの合成に関わる酵素を阻害して貧血を起こし、尿中のδ-アミノレブリン酸が増えるというものです。鉛はδ-アミノレブリン酸脱水酵素などのヘムの合成の酵素を阻害し、貧血を起こします。そのため尿中のδ-アミノレブリン酸が増え、曝露の指標になります。鉛はまた末梢神経の障害による伸筋の麻痺や腹痛を起こします。カドミウムやヒ素の中毒とは症状が異なります。
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