胃を全部切除した65歳の男性。手術から5年ほどたって、舌の痛みと手足のしびれを伴…
胃を全部切除した65歳の男性。手術から5年ほどたって、舌の痛みと手足のしびれを伴う大球性の貧血が現れた。不足が考えられる成分と、その原因として正しいのはどれか。
- ⑴ 鉄で、胃酸が失われて3価の鉄の還元が進まず、十二指腸での吸収が落ちたため。鉄の欠乏は起こりえますが、小球性の貧血になり、手足のしびれも伴いにくい点で合いません。
- ⑵ ビタミンB12で、胃から出る内因子が失われ、回腸で吸収できなくなったためである。ビタミンB12は内因子と結合して回腸で吸収されます。胃の全摘で内因子が失われ、欠乏が起こります。
- ⑶ 銅で、胃の粘膜に蓄えられていた銅が切除によって体から失われたため。銅の主な貯蔵の場所は肝臓で、胃の切除と結びつく大球性の貧血の原因ではありません。
- ⑷ 葉酸で、胃の粘膜でつくられていた葉酸が手術によって合成されなくなったため。葉酸はヒトの体内では合成されず、食物からとります。胃でつくられることはありません。
- ⑸ ビタミンKで、胃の中の細菌が減って腸での合成も止まり、不足に陥ったため。ビタミンKの不足は出血傾向を起こすもので、大球性の貧血やしびれの原因にはなりません。
解説
正解は、コバルトを含むビタミンB12の不足で、内因子が失われて吸収できなくなったためです。ビタミンB12は胃の壁細胞から分泌される内因子と結合し、回腸で吸収されます。胃を全部切除すると内因子が失われ、肝臓の貯蔵が尽きる数年後に巨赤芽球性の貧血や、舌の痛み、手足のしびれなどの神経症状が現れます。鉄の不足は小球性の貧血となり、葉酸の不足では神経症状が目立ちません。
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