下痢止めとして用いるロペラミドは、μオピオイド受容体の作動薬であるが、通常の用量…
下痢止めとして用いるロペラミドは、μオピオイド受容体の作動薬であるが、通常の用量では鎮痛や呼吸抑制などの中枢作用をほとんど示さない。その主な理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ 脳の毛細血管内皮細胞のグルコース輸送体によって、脳から血液へ運び出されるため。グルコース輸送体はグルコースを血液から脳へ運ぶ担体で、ロペラミドの排出には関わりません。
- ⑵ 脳の毛細血管には小孔が多く、分子量の大きな薬物は孔の大きさに阻まれて通り抜けられないため。脳の毛細血管内皮は密着結合でつながり、小孔はほとんどありません。この記述は脳の毛細血管と逆の特徴です。
- ⑶ 脳内に入るとすぐにグルクロン酸抱合を受けて、作用をもたない代謝物に変わるため。中枢作用が弱い主な理由は脳への移行が少ないことで、脳内での抱合によるものではありません。
- ⑷ 水溶性がきわめて高く、脂質でできた細胞膜を受動拡散ではほとんど通過できないため。ロペラミドは脂溶性の高い薬物で、P-糖たんぱく質がなければ脳へ移行しやすい性質をもちます。
- ⑸ 脳の毛細血管内皮細胞にあるP-糖たんぱく質によって、血液側へくみ出されるため。ロペラミドはP-糖たんぱく質の基質で、血液脳関門で排出されるため脳内濃度が低く保たれます。
解説
正解は⑸です。脳の毛細血管内皮細胞は密着結合でつながり、さらに管腔側の膜にはP-糖たんぱく質などの排出輸送体があって、基質となる薬物を血液側へくみ出します。ロペラミドは脂溶性が高いものの、P-糖たんぱく質の基質であるため脳内濃度が低く保たれ、中枢作用をほとんど示しません。P-糖たんぱく質を阻害する薬を大量に併用すると、中枢作用が現れることがあります。
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