62歳の女性。高血圧で、エステル型のプロドラッグである降圧薬を服用している。患者…
62歳の女性。高血圧で、エステル型のプロドラッグである降圧薬を服用している。患者から「飲んだ薬が体の中で別の形に変わるのはなぜか」と質問され、薬剤師は化学構造と性質の関係を整理した。記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 分子量を大きくすればするほど、受動拡散による膜の透過は速くなり、吸収がよくなる傾向がある。分子量が大きくなるほど受動拡散による膜の透過は遅くなります。
- ⑵ 水素の代わりにフッ素原子を導入すると代謝を受けやすくなり、作用の持続は短くなる。炭素とフッ素の結合は強く、代謝を受けにくくして作用を長くする目的で用いられます。
- ⑶ 分子内に水素結合を供与する基を多く導入するほど、脂溶性が高まって消化管から吸収されやすくなる。水素結合を供与する基が多いほど極性が高まり、膜の透過性は下がります。
- ⑷ カルボキシ基をエステルに変えると極性が下がって脂溶性が高まり、膜を透過しやすくなることがある。電荷をもつカルボキシ基を隠すことで吸収が改善し、エステル型のプロドラッグに利用されます。
- ⑸ 第三級アミンの医薬品は、生理的なpHで分子形とイオン形が共存し、分子形が血液脳関門を通過する。一部が分子形として存在するため、中枢へ移行して作用を示すことができます。
解説
正解は⑷と⑸です。カルボキシ基のような電荷をもつ基をエステルに変えると、脂溶性が高まって膜を透過しやすくなり、体内で加水分解されて元の形に戻るプロドラッグに利用されます。第三級アミンは生理的なpHで一部が分子形となり、血液脳関門を通過できますが、第四級アンモニウムは常に電荷をもつため中枢へ移行しにくくなります。フッ素の導入は代謝を受けにくくする目的で用いられます。
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