60歳の男性。半年前から右手に力が入りにくくなり、腕の筋がやせて、筋の細かなぴく…
60歳の男性。半年前から右手に力が入りにくくなり、腕の筋がやせて、筋の細かなぴくつきがみられる。最近は話しにくさと飲み込むときのむせも出てきた。感覚の異常はない。筋萎縮性側索硬化症と診断された。この疾患の病態として、正しいのはどれか。
- ⑴ 感染症の後に末梢神経の髄鞘が自己免疫で壊され、手足の力が数日から数週で急速に弱まる。感染後に急速に進む末梢神経の障害はギラン・バレー症候群の特徴です。
- ⑵ 黒質のドパミン神経が変性し、ふるえや筋の固さ、動作の遅さが現れてくる。黒質のドパミン神経の変性はパーキンソン病の病態です。
- ⑶ 神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体ができ、筋の収縮が妨げられていく。神経筋接合部の自己抗体による疾患は重症筋無力症で、疲れやすさと日内変動が特徴です。
- ⑷ 筋の細胞膜を支えるジストロフィンが欠けており、幼児期から筋の線維が壊れていく。ジストロフィンの欠損はデュシェンヌ型筋ジストロフィーで、幼児期の男児に発症します。
- ⑸ 大脳から脊髄へ、脊髄から筋へ向かう運動ニューロンの両方が変性していく。上位と下位の両方の運動ニューロンが障害されるため、筋の萎縮と筋力の低下が全身に広がります。
解説
正解は⑸です。筋萎縮性側索硬化症は、大脳から脊髄へ向かう上位運動ニューロンと、脊髄や脳幹から筋へ向かう下位運動ニューロンの両方が選択的に変性していく疾患です。筋の萎縮と筋力の低下、筋の細かなぴくつきが現れ、話す、飲み込む、呼吸するための筋も障害されます。一方、感覚や眼球の運動、排尿や排便の機能は比較的保たれます。治療にはリルゾールやエダラボンが用いられます。
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