ある薬物は肝臓でグルクロン酸抱合を受けて胆汁中へ排泄され、腸で再び吸収される。こ…
ある薬物は肝臓でグルクロン酸抱合を受けて胆汁中へ排泄され、腸で再び吸収される。この薬物を服用している患者が広い範囲の菌に効く抗菌薬を併用したところ、この薬物の血中濃度が早く下がるようになった。その理由として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 抗菌薬が肝臓のグルクロン酸転移酵素を誘導し、抱合体をつくる速さが上がって排泄が速まったため。この現象の主な原因は腸内細菌の減少による腸肝循環の低下で、抱合の酵素の誘導ではありません。
- ⑵ 腸内細菌が減って腸管の運動が遅くなり、抱合体が肝臓から胆汁へ出にくくなったため。胆汁への排泄が減れば血中濃度はむしろ保たれやすくなり、早く下がる理由にはなりません。
- ⑶ 抗菌薬が腎臓の糸球体ろ過を高め、未変化体の尿中への排泄が増えて血中濃度が下がったため。抗菌薬が糸球体ろ過を高めることはなく、胆汁へ排泄される薬物の消失の変化とも合いません。
- ⑷ 腸内細菌が減って抱合体を元の薬物に戻す働きが弱まり、腸からの再吸収が減ったため。抱合体は腸内細菌で元の薬物に戻されて再吸収されます。菌が減るとこの腸肝循環が弱まります。
- ⑸ 抗菌薬が血漿たんぱく質からこの薬物を追い出し、肝臓に取り込まれる量が増えたため。たんぱく結合の置換では、腸内細菌の働きに関わるこの現象を説明できません。
解説
正解は⑷です。グルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄された薬物は、腸内細菌がもつβ-グルクロニダーゼによって元の薬物に戻され、再び腸から吸収されて肝臓へ戻ります。これを腸肝循環といい、血中濃度が長く保たれる原因になります。広い範囲の菌に効く抗菌薬で腸内細菌が減ると、抱合体が分解されずに便とともに出ていくため、再吸収が減って血中濃度が早く下がるようになります。
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