メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による肺炎の患者に、バンコマイシンの点滴静注が始まっ…
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による肺炎の患者に、バンコマイシンの点滴静注が始まった。β-ラクタム系抗菌薬が効かないこの菌にもバンコマイシンが効く理由となる作用のしくみとして、正しいのはどれか。
- ⑴ ペニシリン結合たんぱく質に共有結合し、ペプチドグリカンの架橋をつくる反応を妨げる。これはβ-ラクタム系の作用で、この菌は結合しにくい別のペニシリン結合たんぱく質をもっています。
- ⑵ 細菌の葉酸の合成を妨げ、核酸の材料がつくれないようにして増殖を抑える。葉酸の合成を妨げるのはスルファメトキサゾールなどの作用です。
- ⑶ 細胞壁の材料となるペプチドの末端に結合し、ペプチドグリカンの合成を妨げる。標的がペニシリン結合たんぱく質ではなく材料の末端のため、その変異による耐性の影響を受けません。
- ⑷ 細菌のDNAジャイレースを阻害し、DNAの複製を妨げて殺菌的に働く。DNAジャイレースの阻害はキノロン系抗菌薬の作用です。
- ⑸ 細菌のリボソームの50Sサブユニットに結合し、たんぱく質の合成を妨げる。50Sサブユニットへの結合はマクロライド系などの作用です。
解説
正解は⑶です。バンコマイシンはグリコペプチド系の抗菌薬で、細胞壁の材料となるペプチドの末端にあるD-アラニル-D-アラニンの部分に結合し、ペプチドグリカンの合成を妨げます。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、β-ラクタム系と結合しにくいペニシリン結合たんぱく質をもつため耐性を示しますが、バンコマイシンは標的が異なるため有効です。腎障害などを避けるため、血中濃度を測りながら投与量を調節します。
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