ゴム製品の工場で、長年にわたりベンゼンを溶剤として扱う作業に従事してきた作業者が…
ゴム製品の工場で、長年にわたりベンゼンを溶剤として扱う作業に従事してきた作業者がいる。この作業者に起こりやすい健康障害として、正しいのはどれか。
- ⑴ 末梢神経が障害され、手足の先からしびれや筋力の低下が現れて、しだいに体の中心へ広がる。末梢神経の障害による多発神経炎はノルマルヘキサンなどの有機溶剤で起こる代表的な障害です。
- ⑵ 肝臓の類洞の内皮から生じる血管肉腫が、長い潜伏期間を経て発生し、腹部の痛みで見つかる。肝臓の血管肉腫は塩化ビニルを扱う作業で起こることが知られている職業がんです。
- ⑶ 膀胱の上皮からがんが生じやすくなり、痛みを伴わない血尿が最初の症状として現れる。膀胱がんは染料の原料となる芳香族アミンを扱う作業で起こる職業がんです。
- ⑷ 骨髄での造血が障害され、再生不良性貧血や、長い年月を経て白血病が起こりやすくなる。ベンゼンは代謝物が骨髄に作用して造血を障害し、白血病の原因となる発がん物質です。
- ⑸ 視神経が障害され、短い期間のうちに視力が低下して、失明に至ることもある。視神経の障害はメタノールを摂取したときに代謝物のギ酸によって起こる中毒の症状です。
解説
正解は⑷です。ベンゼンは肝臓で代謝されて生じる物質が骨髄に作用し、造血の働きを障害します。そのため、長く扱っていると白血球や血小板が減り、再生不良性貧血が起こることがあり、さらに長い年月を経て白血病が発生します。ノルマルヘキサンによる多発神経炎、塩化ビニルによる肝臓の血管肉腫、芳香族アミンによる膀胱がんなど、物質ごとに障害の起こる臓器が異なります。
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