85歳の女性に薬物療法を始めるにあたり、加齢による薬物動態の変化を考慮して投与量…
85歳の女性に薬物療法を始めるにあたり、加齢による薬物動態の変化を考慮して投与量を検討することになった。高齢者で一般にみられる体内動態の変化として、正しいのはどれか。
- ⑴ 胃の酸の分泌が増えて胃内のpHが下がり、弱塩基性の薬物の吸収が大きく増える。加齢では胃酸の分泌は減る傾向にあり、胃内のpHは上がる方向に変化します。
- ⑵ 肝臓の血流量が増えて、肝臓で代謝される薬物のクリアランスが大きくなる。加齢により肝血流量は低下し、肝代謝を受ける薬物のクリアランスは小さくなる傾向です。
- ⑶ 体内の脂肪の割合が減って筋肉の割合が増え、脂溶性の薬物の分布容積が小さくなる。高齢者では脂肪の割合が増えるため、脂溶性の薬物の分布容積はむしろ大きくなります。
- ⑷ 体内の水分量が減って脂肪の割合が増え、水溶性の薬物の分布容積が小さくなる。加齢で体水分量が減るため、水溶性薬物は分布容積が小さくなり、血中濃度が上がりやすくなります。
- ⑸ 糸球体ろ過量が増えて、腎臓から排泄される薬物の消失半減期が短くなる。加齢とともに糸球体ろ過量は低下するため、腎排泄型の薬物の半減期は延びます。
解説
正解は⑷です。高齢者では、体内の水分量と筋肉量が減り、脂肪の割合が増えます。そのため水溶性の薬物は分布容積が小さくなって血中濃度が上がりやすく、脂溶性の薬物は分布容積が大きくなって体内に長くとどまりやすくなります。さらに肝血流量や肝臓の代謝能、糸球体ろ過量が低下するため、薬物の消失が遅れる傾向があります。これらを踏まえ、高齢者では少ない量から始めて効果と副作用を確認しながら調節します。
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