有機リン系殺虫剤を誤って飲み、縮瞳、流涎、徐脈、筋線維束攣縮を示した患者に、アト…
有機リン系殺虫剤を誤って飲み、縮瞳、流涎、徐脈、筋線維束攣縮を示した患者に、アトロピンとともにプラリドキシムヨウ化物が投与された。プラリドキシムの作用として、正しいのはどれか。
- ⑴ リン酸化されて働きを失ったコリンエステラーゼからリン酸基を外し、酵素の活性を回復させる。プラリドキシムはオキシム化合物で、酵素に結合した有機リンを外してコリンエステラーゼを再賦活します。
- ⑵ 運動神経の終末からのアセチルコリンの放出を抑え、骨格筋の線維束攣縮を止めていく。放出の抑制はボツリヌス毒素などの作用で、プラリドキシムの機序とは異なります。
- ⑶ 神経終末でコリンアセチル基転移酵素を阻害し、アセチルコリンの合成量を減らしていく。プラリドキシムはアセチルコリンの合成を抑える薬ではなく、分解酵素の働きを取り戻させます。
- ⑷ 臓器のムスカリン受容体を遮断し、過剰なアセチルコリンによる分泌の亢進や徐脈を抑える。ムスカリン受容体の遮断は併用されたアトロピンの作用で、プラリドキシムの作用ではありません。
- ⑸ 肝臓での有機リン化合物の代謝を速めて無毒化し、尿中への排泄を促して体外へ除く。代謝や排泄を速める作用ではなく、阻害された酵素そのものに作用します。
解説
正解は⑴です。有機リン化合物はコリンエステラーゼの活性部位のセリン残基をリン酸化して働きを失わせるため、アセチルコリンが蓄積し、ムスカリン様症状とニコチン様症状が現れます。プラリドキシムはオキシム基をもち、リン酸化された酵素からリン酸基を奪って酵素の活性を回復させます。ただし時間がたってリン酸化酵素が老化すると再賦活されにくくなるため、早期の投与が重要です。ムスカリン様症状にはアトロピンを併用します。
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