手術前の患者にアトロピンを静脈内投与したところ、心拍数が増加した。この心拍数の増…
手術前の患者にアトロピンを静脈内投与したところ、心拍数が増加した。この心拍数の増加が起こる機序として、正しいのはどれか。
- ⑴ 洞房結節のM2受容体を遮断し、迷走神経による拍動の抑制を取り除く。安静時の心臓は迷走神経の抑制を受けており、M2受容体を遮断するとその抑制が外れて心拍数が増えます。
- ⑵ 血管のα1受容体を遮断して血圧を下げ、反射によって交感神経を興奮させる。α1受容体の遮断による反射性頻脈はプラゾシンなどで起こります。アトロピンの作用点ではありません。
- ⑶ 心筋のβ1受容体を直接刺激して、収縮力とともに拍動の頻度を高める。アトロピンはアドレナリン受容体に作用しません。β1受容体を刺激するのはドブタミンなどです。
- ⑷ 副腎髄質のニコチン受容体を刺激し、アドレナリンの放出を増やす。アトロピンはムスカリン受容体の遮断薬で、ニコチン受容体には作用しません。
- ⑸ 交感神経終末でノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、作用を強める。再取り込みの阻害は三環系抗うつ薬やコカインの作用で、アトロピンの機序ではありません。
解説
正しいのは、洞房結節のM2受容体を遮断して迷走神経の抑制を取り除くという機序です。安静時の心臓は副交感神経(迷走神経)の働きが優位で、放出されたアセチルコリンがM2受容体を介して洞房結節の自動能を抑えています。アトロピンはこの受容体を競合的に遮断するため、抑制が外れて心拍数が増えます。徐脈の治療や、麻酔時の迷走神経反射を防ぐ目的で用いられるのはこのためです。
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