72 歳の男性。2か月前に脳梗塞を発症した後、左側にあるものにぶつかりやすくなっ…
72 歳の男性。2か月前に脳梗塞を発症した後、左側にあるものにぶつかりやすくなった。食事の際に左側に置かれたものに気付かず食べ残す傾向がある。視力は右0.7(1.2×-2.50D)、左0.6(1.2×-2.25D)で、記憶力や判断力に明らかな低下はみられなかった。視野検査の結果(別冊No. 5)を別に示す。この患者で考慮すべき病態はどれか。
- ⑴ 失語症失語症は主に左半球の障害で言語の障害を起こし、本例の症状とは合いません。
- ⑵ 水平注視麻痺水平注視麻痺は眼球運動の障害で、左側の見落としの説明にはなりません。
- ⑶ 認知症記憶力や判断力の低下がないため、認知症は考えにくいです。
- ⑷ 半側空間無視右半球の病変で左側空間への注意が欠落する半側空間無視が考えられます。
- ⑸ 皮質盲皮質盲は両側の後頭葉障害による高度の視力障害で、本例の視力と合いません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。右大脳半球(特に頭頂葉)の脳梗塞のあとに、左側のものにぶつかる、食事で左側の料理を食べ残すといった症状がみられる場合、左半側空間無視を考えます。半側空間無視は視野が保たれていても、損傷と反対側の空間に注意が向かない高次脳機能障害で、同名半盲を伴うこともあります。視力は良好で、記憶力や判断力の低下がないことから認知症は考えにくく、失語症や水平注視麻痺、皮質盲とも症状が合いません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-10.html)を加工して作成