65歳の男性。突然の回転性のめまいと飲み込みにくさが出現した。診察では、右の顔面…
65歳の男性。突然の回転性のめまいと飲み込みにくさが出現した。診察では、右の顔面と左の上下肢・体幹で痛みと温度の感覚が鈍く、右の上眼瞼が軽く下がり、右の瞳孔が左より小さい。手足の筋力は左右とも保たれている。障害されている部位として最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 左の橋の底部で、皮質脊髄路が束になって下る領域橋の底部の障害では運動の麻痺が中心になり、顔の温痛覚の低下や縮瞳の組合せは説明できません。
- ⑵ 右の中脳の背側部で、上丘と視蓋前域が並ぶ領域中脳背側の障害では上方視の障害や瞳孔の対光反射の異常が目立ち、嚥下障害や温痛覚の解離は起こりません。
- ⑶ 左の視床の外側部で、全身の体性感覚を中継する領域左視床の障害では右半身の感覚が低下します。顔と体で左右が入れ替わる感覚障害やホルネル症候群は説明できません。
- ⑷ 右の延髄の内側部で、舌下神経と錐体路が通る領域延髄内側の障害では、舌の偏りと反対側の手足の麻痺が出ます。この患者は筋力が保たれています。
- ⑸ 右の延髄の外側部で、後下小脳動脈が血液を送る領域延髄外側には三叉神経脊髄路核、反対側から上る脊髄視床路、下行する交感神経路、疑核が集まり、この組合せの症状が出ます。
解説
最も考えられるのは右の延髄外側部の障害です。延髄外側には、同じ側の顔の温痛覚を伝える三叉神経脊髄路核、反対側の体から上る脊髄視床路、下行する交感神経路、嚥下に関わる疑核が集まっています。そのため、右顔面と左半身の温痛覚低下、右のホルネル症候群、嚥下障害が同時に起こります。錐体路は延髄の前内側を通るため、筋力は保たれます。
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