58歳の男性。大動脈弁に病変があることを知らされていたが、歯科医院に伝えずに下顎…
58歳の男性。大動脈弁に病変があることを知らされていたが、歯科医院に伝えずに下顎右側第一大臼歯の抜歯を受けた。2週間後から微熱とだるさが続き、血液培養で口腔の常在菌と同じ種類の菌が検出され、感染性心内膜炎と診断された。この菌の由来と、弁に至った経路として最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 術者の手指の皮膚に常在する黄色ブドウ球菌が、抜歯窩から入り込んで弁に付着した。血液培養で検出されたのは口腔の常在菌と同じ種類の菌で、皮膚の常在菌ではありません。
- ⑵ 腸管に常在する大腸菌が、抜歯後の食事とともに腸から血流に入って弁に付着した。大腸菌は腸管の菌であり、抜歯との時間的な関係も口腔の常在菌という所見とも合いません。
- ⑶ 口腔に常在するカンジダが、義歯の下の粘膜から血流に入り込んで弁に付着した。この症例で検出されたのは細菌で、真菌のカンジダではありません。
- ⑷ 口腔に常在するレンサ球菌が、抜歯の際に血流に入り、傷んだ弁に付着した。口腔のレンサ球菌は抜歯などで一過性に血流へ入り、病変のある弁に付きやすい菌です。
- ⑸ 空気中に浮遊する結核菌が、抜歯中に吸い込まれて肺から血流に入り弁に付着した。結核菌は口腔の常在菌ではなく、抜歯をきっかけに弁へ付く菌としても典型的ではありません。
解説
最も考えられるのは、口腔に常在するα溶血を示すレンサ球菌が、抜歯の際に血流に入り、傷んだ弁に付着した経路です。口腔には多くの常在菌がいて、抜歯や歯周組織の処置で一時的に血液の中に入ります。健康な人ではすぐに除かれますが、弁膜症などで弁が傷んでいると、そこに菌が付着して増え、感染性心内膜炎を起こします。危険の高い患者では、処置の前に抗菌薬の予防投与を行います。
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