70歳の女性。肺炎のため2週間にわたり広域の抗菌薬を投与された。その後、舌と頬粘…
70歳の女性。肺炎のため2週間にわたり広域の抗菌薬を投与された。その後、舌と頬粘膜に拭うと剥がれる白色の苔状物が多数みられ、口腔カンジダ症と診断された。この発症の仕組みとして正しいのはどれか。
- ⑴ 抗菌薬で常在細菌が減り、抗菌薬の効かない真菌が相対的に増えた。常在細菌叢が抗菌薬で乱れ、拮抗していた真菌が増殖する菌交代現象です。
- ⑵ 抗菌薬がカンジダの細胞壁を壊し、菌の病原性を高める方向へ変えた。抗菌薬は細菌に作用するもので、真菌の病原性を高める作用はありません。
- ⑶ 抗菌薬の作用で唾液の分泌が増え、粘膜の表面に真菌が流れ着いた。唾液には自浄作用があり、分泌が増えることはカンジダ症の原因になりません。
- ⑷ 抗菌薬が口腔のレンサ球菌を真菌の形へ変え、白い苔状物を作った。細菌が真菌に変わることはなく、白い苔状物はカンジダの菌糸と剥離上皮などからなります。
- ⑸ カンジダは口腔に常在しない菌で、入院中に外部から新たに感染した。カンジダは健康な人の口腔にも少数存在する常在の真菌です。
解説
抗菌薬で常在細菌が減り、抗菌薬の効かない真菌が相対的に増えたことが原因です。口腔にはレンサ球菌を中心とする多数の細菌と、少数のカンジダなどの真菌が常在し、互いに拮抗して均衡を保っています。広域の抗菌薬を長く使うと細菌叢が乱れ、抑えられていたカンジダが増殖します。これを菌交代現象と呼びます。高齢者や免疫が低下した人、義歯の使用者では特に起こりやすいため、口腔の観察と清掃が大切です。
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