11歳の女子。上顎の歯列弓が狭く、両側の臼歯部が交叉咬合である。左右の第一小臼歯…
11歳の女子。上顎の歯列弓が狭く、両側の臼歯部が交叉咬合である。左右の第一小臼歯と第一大臼歯に固定した急速拡大装置を装着し、拡大ねじを1日2回回すよう指示した。2週間後、それまで閉じていた上顎の左右の中切歯の間に、新たに3mmのすき間が生じていた。このすき間が生じた理由として最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 拡大ねじが緩み、装置が臼歯から外れかけたため。装置が緩むと拡大は止まるので、中切歯の間が新たに開く理由になりません。
- ⑵ 萌出してきた側切歯が、中切歯の歯根を押したため。11歳では側切歯は萌出を終えており、急に中切歯を押し広げることはありません。
- ⑶ 上唇小帯の付着が下がり、中切歯の間に入ったため。小帯の付着の位置は2週間で変わらず、このすき間の原因ではありません。
- ⑷ 正中口蓋縫合が開き、左右の上顎骨が離れたため。縫合が開いて左右の上顎骨が離れると、それぞれに植立する中切歯の間が開きます。
- ⑸ 強い力で中切歯の歯根が吸収され、歯が傾いたため。拡大装置は臼歯部に固定されており、中切歯の歯根吸収で生じる所見ではありません。
解説
正中口蓋縫合が開いて左右の上顎骨が離れたため、と考えるのが最も適切です。急速拡大装置は短期間に大きな力をかけ、成長期の正中口蓋縫合を開いて上顎骨そのものを左右に広げます。左右の中切歯はそれぞれ別の上顎骨に植立しているため、縫合が開くと中切歯の間にすき間が生じます。このすき間は縫合が開いた目安になり、その後は歯の移動によって自然に閉じていきます。
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