A さんは安静臥床を指示され、点滴治療が継続された。妊娠36 週5日、痛みを伴う…
次の文を読み47、48 の問いに答えよ。A さん(30 歳、初妊婦)。妊娠33 週0日に帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛があることを主訴に受診した。体温36.8 ℃、脈拍60/分、血圧110/65 mmHg。内診所見は子宮口2cm 開大、展退度50 %。超音波断層法で子宮頸管長23 mm、胎位は骨盤位であった。後腟円蓋の腟分泌物でBTB 試験紙は青変せず、悪臭はしない。血液検査で白血球の増加やCRP の上昇を認めない。A さんは入院となり、NST では胎児心拍数は正常であるが、12 分ごとに弱い子宮収縮が認められる。
A さんは安静臥床を指示され、点滴治療が継続された。妊娠36 週5日、痛みを伴う規則的な子宮収縮が生じ、子宮口が6cm まで開大した。骨盤位であったため緊急帝王切開術による分娩となった。手術翌日、脈拍72/分、血圧118/56 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98 %。子宮底は臍下1横指で収縮は良好であり、外陰部にあてたパッドに少量の血液が付着している。採血の結果は、Hb 10.2g/dL、血小板25 万/μL、生化学検査は異常を認めなかった。手術後初めてトイレまで歩行した際、A さんは胸痛を訴えてうずくまった。A さんの左下肢には、軽度の発赤と腫脹が認められた。A さんに生じた疾患で最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 肺水腫肺水腫では、片側の下肢の所見は伴いません。
- ⑵ 周産期心筋症周産期心筋症は、心不全の症状が中心になります。
- ⑶ 肺血栓塞栓症安静臥床と術後という危険因子があり、所見も合致します。
- ⑷ HELLP 症侯群血小板数も肝機能も正常で、否定されます。
解説
正解は⑶です。長期の安静臥床と帝王切開という危険因子があり、初回歩行の際に胸痛が現れ、片側の下肢に発赤と腫脹を認めることから、深部静脈血栓症に続発した肺血栓塞栓症が最も考えられます。肺水腫や周産期心筋症では下肢の片側の所見は伴わず、HELLP症候群は血小板減少や肝機能の異常を伴います。直ちに医師へ報告し、酸素投与と循環の管理を行う準備を整えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-03_04_05.html)を加工して作成