4 歳の女児。急性脳症による意識障害のため小児集中治療室〈PICU〉で人工呼吸管…
4 歳の女児。急性脳症による意識障害のため小児集中治療室〈PICU〉で人工呼吸管理中である。今朝、SpO2 が突然低下したため、研修医に報告があった。体温37.0 ℃。心拍数130/分、整。血圧92/50mmHg。呼吸数30/分(呼吸器設定:換気回数30/分、FIO20.4)。SpO2 81 %。胸郭の動きは左右差がある。心音に異常を認めない。呼吸音は左側で著明に減弱している。腹部は平坦、軟で、腸雑音を聴取する。経鼻胃管は昨日と同じ固定位置で、胃液が吸引できる。気管チューブの固定テープにゆるみがあり、固定位置が2 cm 深くなっている。気管チューブから喀痰吸引を行い、チューブの閉塞はみられなかった。胸部エックス線写真(別冊No. 3)を別に示す。適切な対応はどれか。
- ⑴ 胃管を抜去する。胃管は正しい位置にあり胃液も引けており、抜去しても低酸素は改善しません。
- ⑵ ショック体位にする。血圧は保たれており、ショック体位の適応ではありません。
- ⑶ アドレナリンを静注する。循環は保たれており、アドレナリン静注の適応はありません。
- ⑷ 気管チューブの位置を調整する。右主気管支への片肺挿管であり、チューブを引き抜いて位置を調整します。
- ⑸ 胸腔ドレーンを左側に挿入する。呼吸音減弱の原因は片肺挿管による無気肺で、気胸ではないため胸腔ドレーンは不要です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。人工呼吸管理中の小児で突然SpO2が低下し、胸郭の動きに左右差と左呼吸音の著明な減弱があり、気管チューブの固定位置が2cm深くなっています。右気管支が左より太く分岐角度が小さいため、深く入ったチューブは右主気管支に入りやすく、片肺挿管となって左肺が換気されず無気肺を生じたと考えられます。チューブを適切な深さまで引き抜いて位置を調整し、胸部X線で先端位置を再確認します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成