58 歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。今朝、起床後から労作時呼吸困難…
58 歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。今朝、起床後から労作時呼吸困難が出現した。通常通りに出勤したが呼吸困難が持続しており、処方されていた吸入薬を使用後も改善がみられなかったため受診した。35 歳時から①喘息に対して吸入療法中。57 歳時から②臨床病期Ⅳ期の非小細胞肺癌に対して治療中。③2 週間前にインフルエンザワクチン接種を受けた。④築35 年の木造住宅に住んでいる。⑤自宅で鳥を飼育している。意識は清明。身長172 cm、体重67 kg。体温36.5 ℃。脈拍92/分、整。血圧138/90mmHg。呼吸数20/分。SpO2 92 %(roomair)。頸静脈の怒張と口唇のチアノーゼとを認めない。心雑音を聴取しないが胸骨左縁第2 肋間でⅡ音の亢進を認める。呼吸音に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球452 万、Hb 13.8 g/dL、Ht 41 %、白血球5,400、血小板21 万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、D ダイマー4.4 μg/mL(基準1.0 以下)。血液生化学所見:総ビリルビン1.0 mg/dL、AST 21 U/L、ALT 9 U/L、LD 306U/L(基準124~222)、CK 60 U/L(基準59~248)、尿素窒素11 mg/dL、クレアチニン0.6 mg/dL、血糖114 mg/dL。胸部造影CT(別冊No. 30)を別に示す。下線部のうち、この疾患のリスクファクターはどれか。
- ⑴ ①喘息は肺血栓塞栓症のリスクファクターではありません。
- ⑵ ②進行期の悪性腫瘍は凝固亢進を来し、静脈血栓塞栓症の重要なリスクです。
- ⑶ ③インフルエンザワクチン接種は肺血栓塞栓症のリスクではありません。
- ⑷ ④古い木造住宅は夏型過敏性肺炎のリスクで、肺塞栓症とは関係しません。
- ⑸ ⑤鳥の飼育は鳥関連過敏性肺炎のリスクで、肺塞栓症とは関係しません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。突然発症の労作時呼吸困難、低酸素血症、Ⅱ音の亢進(肺高血圧の示唆)、Dダイマー上昇を認め、胸部造影CTでは肺動脈内の造影欠損がみられると考えられ、肺血栓塞栓症と診断されます。悪性腫瘍は凝固亢進状態を引き起こし、静脈血栓塞栓症の重要なリスクファクターです。特に進行期の肺癌や膵癌、化学療法中の患者で発症リスクが高くなります。喘息、ワクチン接種、木造住宅、鳥の飼育は本症のリスクとはいえない項目です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成