52歳の女性。12時間の国際線の飛行機から降りた翌日、急に息苦しさと胸の痛みが出…
52歳の女性。12時間の国際線の飛行機から降りた翌日、急に息苦しさと胸の痛みが出て受診した。脈拍112/分、血圧124/78 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度89%(室内気)。左下腿が腫れている。造影CTで両側の肺動脈に血栓を認め、心エコーで右室の軽度の拡大がある。出血の危険因子はない。最初に行う治療として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 血圧を下げるため、硝酸薬を点滴して心臓の負担を減らす。肺血栓塞栓症では右心の前負荷が重要で、血管拡張薬は血圧低下を招くおそれがあります。
- ⑵ 酸素を投与し、ヘパリンによる抗凝固療法を直ちに始める。血圧の保たれた肺血栓塞栓症では、酸素投与とともに抗凝固療法を直ちに開始し、血栓の進展と再発を防ぎます。
- ⑶ 肺炎と考えて、広い範囲の菌に効く抗菌薬の点滴を始める。造影CTで肺動脈の血栓が確認されており、抗菌薬では治療になりません。
- ⑷ 胸の痛みに対して鎮痛薬を投与し、翌日の外来まで経過を見る。低酸素を伴う肺血栓塞栓症を治療せずに帰すと、再発や悪化で命にかかわります。
- ⑸ 下腿の血栓を流すため、ふくらはぎを強くもんで血流を良くする。下肢をもむと血栓がはがれて新たな塞栓を起こすおそれがあります。
解説
酸素を投与し、ヘパリンによる抗凝固療法を直ちに始めるのが最も適切です。長時間の座位の後の突然の呼吸困難と胸痛、低酸素、片側の下腿の腫れは、深部静脈血栓症からの肺血栓塞栓症の典型的な経過で、造影CTで確定しています。血圧が保たれている場合は抗凝固療法が治療の基本で、ショックを伴う重症では血栓溶解療法やカテーテル治療を検討します。
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