下線部のうち、この患者の診断に直接寄与しない医療面接項目はどれか。
50 歳の女性。腹痛と発熱とを主訴に来院した。現病歴 : 昨夜、①夕食後しばらくしてから右上腹部に痛みを感じ、悪寒戦慄を伴う発熱が出現した。市販のアセトアミノフェンを服用したが改善せず、②朝になっても痛みと発熱が続くため受診した。③右肩への痛みの広がりは認めない。既往歴 : 40 歳時に胆石症と指摘されていたが、④胆石発作歴はない。⑤インフルエンザワクチンは毎年接種しており、新型コロナウイルスワクチンの最終接種は1 年前である。生活歴 : 夫と2 人暮らし。専業主婦。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 特記すべきことはない。現 症 : 意識は清明。身長162 cm、体重58 kg。体温37.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧120/64mmHg。呼吸数12/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、右上腹部に圧痛を認める。四肢に異常を認めない。検査所見 : 血液所見:赤血球410 万、Hb 12.8 g/dL、Ht 39 %、白血球15,200、血小板21 万。血液生化学所見:総蛋白6.5 g/dL、アルブミン3.2 g/dL、総ビリルビン3.2 mg/dL、AST 98 U/L、ALT 120 U/L、LD 180 U/L(基準124~222)、ALP 360 U/L(基準38~113)、γ-GT 240 U/L(基準9 ~32)、尿素窒素14 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 3.4 mEq/L、Cl 101 mEq/L。CRP7.8 mg/dL。
下線部のうち、この患者の診断に直接寄与しない医療面接項目はどれか。
- ⑴ ①食後の発症は胆石発作や胆道疾患の診断に寄与する情報です。
- ⑵ ②症状の持続は胆石発作と胆嚢炎・胆管炎の鑑別に寄与します。
- ⑶ ③右肩への放散痛の有無は胆道疾患の診断に関わる情報です。
- ⑷ ④胆石発作歴の有無は胆道疾患の診断に関わる情報です。
- ⑸ ⑤予防接種歴は背景情報ですが、胆管炎の診断には直接寄与しません。
解説
正解は⑸です。本例は胆石症の既往があり、右上腹部痛、悪寒戦慄を伴う発熱、黄疸、胆道系酵素の上昇、炎症反応の上昇を認め、総胆管結石による急性胆管炎が考えられます。食後の発症、症状の持続、放散痛の有無、胆石発作歴はいずれも胆道疾患の診断に関わる情報です。一方、予防接種歴は患者の背景情報として重要ですが、本例の胆管炎の診断には直接寄与しないと考えられます。病歴聴取で各項目の意義を整理しておくことが大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成