検査結果を説明後に、患者から「幼い子供がいるので、うつる病気かどうか心配です」と…
32 歳の男性。腹痛を主訴に来院した。現病歴 : 本日起床時から腹痛が出現した。悪心を伴い朝食を食べられなかった。出社時間となっても症状が改善しないため受診した。既往歴 : 小学生時に気管支喘息のため吸入薬を使用していた。生活歴 : 広告会社で勤務している。喫煙は10 本/日を10 年間。飲酒は機会飲酒。4 年前に結婚し、妻と1 歳の男児の3 人暮らし。3 年前から猫を2 匹飼っている。海外渡航歴はない。家族歴 : 父が60 歳時に胃癌で手術。母が糖尿病で服薬治療中。現 症 : 身長178 cm、体重68 kg。体温37.3 ℃。脈拍72/分、整。血圧132/78mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦。腸雑音はやや亢進している。肝・脾を触知しない。腹部正中に軽度の圧痛を認める。下腿に浮腫を認めない。検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体1 +、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球488 万、Hb 14.6 g/dL、Ht 44 %、白血球12,300、血小板21 万。血液生化学所見:総蛋白7.6 g/dL、アルブミン3.9 g/dL、総ビリルビン0.9 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 16 U/L、LD 177 U/L(基準124~222)、ALP 83 U/L(基準38~113)、γ-GT 32 U/L(基準13~64)、アミラーゼ50 U/L(基準44~132)、CK 60 U/L(基準59~248)、尿素窒素19 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、尿酸6.2 mg/dL、血糖98 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 98 mEq/L。CRP 1.6 mg/dL。
検査結果を説明後に、患者から「幼い子供がいるので、うつる病気かどうか心配です」と発言があった。この発言に対する適切な問診はどれか。
- ⑴ 「夜は眠れますか」睡眠の状況は感染症かどうかの判断には役立ちません。
- ⑵ 「便秘はありますか」便秘の有無は腹痛の評価には役立ちますが、感染症の判断には直結しません。
- ⑶ 「おなかの張りはありますか」腹部膨満の有無は腸閉塞などの評価に役立ちますが、感染症の判断には直結しません。
- ⑷ 「手足のしびれはありますか」手足のしびれは本例の感染症の判断には役立ちません。
- ⑸ 「周りに同じ症状の人はいますか」周囲に同じ症状の人がいるかは、感染症かどうかを判断するのに有用な問診です。
解説
正解は⑸です。患者は自分の病気が幼い子供にうつる感染症ではないかと心配しています。感染性腸炎などの感染症かどうかを判断するには、家族や職場など周りに同じ症状の人がいるか、生ものの摂取、海外渡航、ペットとの接触などの疫学的情報を確認することが重要です。周りに同じ症状の人がいれば感染症の可能性が高まり、家庭での感染対策を具体的に指導できます。患者の心配に応えた問診を行うことは、患者中心の医療面接の基本です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成