40 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。10 年前にHBs 抗原陽性を指摘さ…
40 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。10 年前にHBs 抗原陽性を指摘されたがそのままにしていた。1 か月前から全身倦怠感を自覚したため受診した。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。前胸部にくも状血管腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球434 万、Hb 13.7 g/dL、白血球6,300、血小板9.8 万。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン4.0 g/dL、総ビリルビン0.7 mg/dL、AST 56 U/L、ALT 42 U/L、γ-GT 53 U/L(基準13~64)。免疫血清学所見:HBs 抗原陽性、HBV-DNA 陽性、HCV 抗体陰性、HIV 抗原・抗体陰性。腹部超音波検査で肝辺縁の鈍化と表面の不整、脾腫を認める。第一選択薬はどれか。
- ⑴ グリチルリチングリチルリチンは肝庇護療法で、ウイルス増殖を抑える根本治療ではありません。
- ⑵ 核酸アナログ製剤B型肝硬変ではHBV-DNA陽性なら核酸アナログ製剤による抗ウイルス療法が第一選択です。
- ⑶ グルココルチコイドグルココルチコイドはHBVの再活性化や増殖を招き、禁忌に近い薬剤です。
- ⑷ ウルソデオキシコール酸ウルソデオキシコール酸は胆汁うっ滞性疾患などに用い、HBVの治療薬ではありません。
- ⑸ 直接作用型抗ウイルス薬〈direct acting antivirals〉DAAはC型肝炎の治療薬で、B型肝炎には無効です。
解説
正解は⑵です。HBs抗原陽性を放置していた男性で、くも状血管腫、血小板減少(9.8万)、肝辺縁の鈍化と表面不整、脾腫から、B型肝炎ウイルスによる肝硬変と考えられます。HBV-DNA陽性の肝硬変では、ウイルス量やALT値にかかわらず抗ウイルス療法の適応となり、エンテカビルやテノホビルなどの核酸アナログ製剤が第一選択です。ウイルス増殖を抑えて肝病変の進行や肝癌発生を抑制します。肝癌の定期的な画像検査も必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成