54 歳の男性。口腔内の違和感を主訴に来院した。2 年前から口唇の肥厚と下顎の突…
54 歳の男性。口腔内の違和感を主訴に来院した。2 年前から口唇の肥厚と下顎の突出を自覚し、その後、靴のサイズが約1 cm 大きくなり、指輪が外れなくなった。既往歴に高血圧症があり内服治療中である。また、睡眠時無呼吸症候群で通院中である。意識は清明。身長162 cm、体重72 kg。体温36.5 ℃。脈拍96/分、整。血圧120/90mmHg。矯正視力は右1.5 左0.2。顔面は、眉弓突出、口唇肥大および下顎突出を認め、口腔内は舌の腫大を認める。血液所見:赤血球366 万、白血球4,200、血小板20 万。血液生化学所見:総蛋白7.6 g/dL、アルブミン4.4 g/dL、総ビリルビン0.6 mg/dL、AST 18 U/L、ALT 15 U/L、尿素窒素22 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、空腹時血糖111 mg/dL、HbA1c 6.3 %(基準4.9~6.0)、Na 140 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 104 mEq/L。頭部造影MRI のT 1 強調矢状断像(別冊No. 12A)と頭部単純MRI のT 2 強調冠状断像(別冊No. 12B)とを別に示す。この患者の内分泌検査所見で異常高値を認めるのはどれか。
- ⑴ ACTHACTHはCushing病で高値となり、本例の先端巨大症の所見とは合いません。
- ⑵ FT3甲状腺ホルモンの過剰を示す症状はなく、FT3の異常高値は考えにくいです。
- ⑶ インスリン様成長因子-Ⅰ〈IGF-I〉GH過剰により肝臓でのIGF-Ⅰ産生が増え、先端巨大症で異常高値を示します。
- ⑷ LH下垂体腺腫の圧迫ではむしろLHなどの性腺刺激ホルモンは低下しやすいです。
- ⑸ TSHTSH産生腺腫は稀で、本例の症状は先端巨大症に一致します。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。口唇肥厚、下顎突出、眉弓突出、巨舌、手足の容積増大(靴のサイズ増大、指輪が外れない)があり、高血圧、睡眠時無呼吸、耐糖能異常も伴うことから、成長ホルモン産生下垂体腺腫による先端巨大症と考えられます。成長ホルモンは肝臓などでIGF-Ⅰの産生を促すため、血中IGF-Ⅰは異常高値を示し、スクリーニングと治療効果判定に用いられます。確定診断にはブドウ糖負荷でGHが抑制されないことを確認します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成