48 歳の女性。腰痛と両下肢痛を主訴に来院した。昨日の朝、ごみ出しをした後から腰…
48 歳の女性。腰痛と両下肢痛を主訴に来院した。昨日の朝、ごみ出しをした後から腰痛が出現し、両下肢にも痛みとしびれがみられた。市販の鎮痛薬を内服して様子をみていた。今朝①ベッドから起き上がるときに痛みが増強した。また、②今朝から尿が出にくくなった。③最近顔がほてったりする。④8 年前に子宮頸癌に対する手術を受けた。喫煙歴はない。飲酒は夫と週にワイン1 本を飲む。⑤この1 年間で体重が4 kg 増加した。意識は清明。身長152 cm、体重68 kg。体温36.8 ℃。脈拍80/分、整。血圧124/76mmHg。呼吸数22/分。SpO2 98 %(room air)。頭頸部と胸腹部に異常を認めない。肛門括約筋の収縮は減弱している。両側足関節底屈筋力の低下を認める。会陰部に知覚障害がある。腰部に強い痛みがあり、両臀部から大腿後面にかけて強い痛みとしびれを認める。上肢腱反射は正常。下肢では両側のアキレス腱反射が減弱している。下線部の病歴のうち、緊急性が高いのはどれか。
- ⑴ ①起き上がり時の疼痛増強は腰痛でよくみられる所見で、緊急性は高くありません。
- ⑵ ②尿が出にくくなったのは馬尾症候群による膀胱障害を示し、緊急の除圧が必要な病歴です。
- ⑶ ③顔のほてりは更年期症状などが考えられ、緊急性は高くありません。
- ⑷ ④子宮頸癌の既往は転移性脊椎腫瘍の鑑別に関わりますが、本例の緊急性の判断の中心ではありません。
- ⑸ ⑤体重増加は腰痛の危険因子ですが、緊急性は高くありません。
解説
正解は⑵です。重い物を持った後に腰痛と両下肢痛が出現し、排尿困難、肛門括約筋の収縮減弱、会陰部の知覚障害(サドル型感覚障害)、両側の足関節底屈筋力低下とアキレス腱反射の減弱を認めることから、腰椎椎間板ヘルニアなどによる馬尾症候群が考えられます。馬尾症候群による膀胱直腸障害は、緊急に手術で除圧しなければ排尿障害などの後遺症が残る可能性が高いため、緊急性が高い病歴です。他の下線部は緊急性の判断には直結しないと考えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成