この患者でみられる症状はどれか。
18 歳の女子。昼夜逆転の生活が続いているため両親に連れられて来院した。現病歴 : 幼少時に発達の遅れや偏りは指摘されていない。高校1 年生までは成績優秀だったが、2 年生のころから意欲や集中力が低下し、成績が落ちた。3 年生から不登校となり、高校中退後は引きこもりがちな生活を送っている。両親によると最近、自室から独り言や笑い声が聞こえる。既往歴 : 特記すべきことはない。生活歴 : 両親と3 人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。家族歴 : 父がうつ病。現 症 : 意識は清明。身長164 cm、体重60 kg。体温36.0 ℃。脈拍72 分、整。血圧122/66mmHg。呼吸数15/分。SpO2 99 %(room air)。神経診察で異常を認めない。診察室ではそわそわと落ち着きなく歩き回り、質問に対して的外れな回答をすることもあり、会話が成立しにくい。「何となく悪いことが起きそうな気がする」「世界がなくなってしまう」「知らない人が自分を見ている」と言う。
この患者でみられる症状はどれか。
- ⑴ 心気心気は自分が重い病気にかかっていると過度に心配する状態で、本例の訴えとは異なります。
- ⑵ 妄想妄想気分、世界没落体験、注察妄想がみられ、妄想に当たります。
- ⑶ 強迫観念強迫観念は不合理と自覚しながら繰り返し浮かぶ考えで、本例の確信的な訴えとは異なります。
- ⑷ 対人恐怖対人恐怖は人前での緊張や不安が中心で、知らない人に見られているという確信とは異なります。
- ⑸ 予期不安予期不安はパニック発作が再び起こることへの不安で、本例とは異なります。
解説
正解は⑵です。思春期に意欲や集中力の低下、成績低下、不登校、引きこもりが進行し、独り言や空笑(幻聴との対話が疑われる)がみられます。「何となく悪いことが起きそうな気がする」は妄想気分、「世界がなくなってしまう」は世界没落体験、「知らない人が自分を見ている」は注察妄想に当たり、いずれも妄想に分類されます。心気、強迫観念、対人恐怖、予期不安は神経症性の症状で、患者が自分の考えの不合理さをある程度自覚している点で妄想とは異なります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成