30 歳の初妊婦(1 妊0 産)。市販の妊娠検査薬が陽性であったため来院した。2…
30 歳の初妊婦(1 妊0 産)。市販の妊娠検査薬が陽性であったため来院した。2年前に糖尿病と診断され、1 年前から自宅近くの診療所でインスリン治療を受けている。最終月経は7 週間前。月経周期は28 日型、整。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)。血液生化学所見:血糖92 mg/dL、HbA1c 6.0 %(基準4.9~6.0)。経腟超音波検査で子宮内に頭殿長〈CRL〉2.0 cm の心拍動を有する胎児を認めた。妊婦は糖尿病に伴う胎児形態異常を心配している。この妊婦への説明で適切なのはどれか。
- ⑴ 「人工妊娠中絶を勧めます」血糖管理は良好で、形態異常のリスクは高くないため、人工妊娠中絶を勧める根拠はありません。
- ⑵ 「胎児の形態異常は超音波検査で分かります」超音波検査は形態異常の検出に有用ですが、すべての異常を見つけることはできず、説明として不正確です。
- ⑶ 「インスリンから経口糖尿病薬に変更しましょう」妊娠中の血糖管理はインスリンが基本で、経口糖尿病薬への変更は推奨されていません。
- ⑷ 「75 g 経口ブドウ糖負荷試験で耐糖能の再評価をしましょう」すでに糖尿病と診断されインスリン治療中であり、75 g OGTTによる再評価は不要です。
- ⑸ 「胎児形態異常のリスクは糖尿病ではない方とほとんど変わりません」妊娠初期のHbA1cが良好な本例では、形態異常のリスクは一般の妊婦とほぼ同程度と説明できます。
解説
正解は⑸です。妊娠前から糖尿病がある場合、妊娠初期(器官形成期)の高血糖は胎児の形態異常や流産のリスクを高めます。しかし本例はインスリン治療で血糖が良好に管理され、HbA1cも6.0%と正常に近い値です。妊娠前から妊娠初期のHbA1cが良好であれば、形態異常のリスクは糖尿病でない妊婦とほとんど変わらないとされています。今後も妊娠中はインスリンで血糖管理を続け、厳格な血糖目標を維持することが大切です。不安に寄り添いながら正確な情報を伝えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成