78 歳の男性。安静時の強い呼吸困難のため、家族とともに救急外来を受診した。呼吸…
78 歳の男性。安静時の強い呼吸困難のため、家族とともに救急外来を受診した。呼吸困難のため本人からは病歴の情報を十分に得ることができない。家族によると、昨日から体動時の呼吸困難を訴えていた。慢性閉塞性肺疾患のため5 年前から自宅近くの診療所で在宅酸素療法(1 L/分)が導入され、来院時は、1 L/分の酸素を吸入している。意識は清明。体温36.8 ℃。脈拍96/分、整。血圧130/80mmHg。呼吸数28/分。SpO2 87%(鼻カニューラ1 L/分 酸素投与下)。体格はやせ型。吸気時に肥大した胸鎖乳突筋が特に目立ち、口すぼめ呼吸をし、喘鳴が著明である。動脈血ガス分析(鼻カニューラ1 L/分 酸素投与下):pH 7.35、PaCO2 55 Torr、PaO2 50 Torr、HCO3⁻30 mEq/L。初期対応で適切な酸素投与方法はどれか。
- ⑴ リザーバー付マスク15 L/分リザーバー付マスク15 L/分は高濃度酸素となり、CO2ナルコーシスを招く危険が高く不適切です。
- ⑵ リザーバー付マスク10 L/分リザーバー付マスク10 L/分も高濃度酸素であり、Ⅱ型呼吸不全の初期対応としては不適切です。
- ⑶ 鼻カニューラ5 L/分1 L/分から5 L/分への急な増量はPaCO2上昇の危険があり、少しずつ増量するのが原則です。
- ⑷ 鼻カニューラ2 L/分低流量から少量ずつ増量し、SpO2 88〜92%程度を目標とするのが適切で、2 L/分への増量が妥当です。
- ⑸ 鼻カニューラ0.5 L/分PaO2 50 Torrと低酸素血症が進んでおり、現状より減量するのは不適切です。
解説
正解は⑷です。在宅酸素療法中のCOPD患者の増悪で、PaCO2 55 Torr、HCO3⁻ 30 mEq/Lと慢性の高二酸化炭素血症を伴うⅡ型呼吸不全です。このような患者に高濃度酸素を投与すると、低酸素による呼吸刺激が失われることや換気血流比の悪化によりCO2ナルコーシスを招く危険があります。そのため初期対応では低流量から少しずつ増量し、SpO2 88〜92%程度を目標に調整します。現在の1 L/分から2 L/分への増量が適切です。改善しなければNPPVを検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成