8 か月の女児。発熱と右下肢を動かさなくなったことを主訴に来院した。2 日前から…
8 か月の女児。発熱と右下肢を動かさなくなったことを主訴に来院した。2 日前から寝返りをしなくなり、おむつ交換の際に痛がるようになった。昨夜39.1 ℃の発熱があり、今朝から右下肢を動かさなくなったため受診した。身長67.5 cm、体重8,100 g。体温38.9 ℃。右下肢を他動的に動かすと痛がり、啼泣する。赤沈42 mm/ 1 時間。血液所見:Hb 11.2 g/dL、白血球18,500(桿状核好中球15 %、分葉核好中球70 %、好酸球1 %、好塩基球1 %、単球2 %、リンパ球12 %)、血小板37 万。CRP 15 mg/dL。股関節のエックス線写真(別冊No. 16A)と股関節単純MRI の脂肪抑制T2 強調冠状断像(別冊No. 16B)とを別に示す。行うべき対応はどれか。
- ⑴ 牽引治療牽引治療はペルテス病などで用いることがありますが、化膿性関節炎の根本治療にはなりません。
- ⑵ 切開排膿術関節内の膿を速やかに排出し骨頭や軟骨の破壊を防ぐため、緊急の切開排膿が必要です。
- ⑶ NSAID 投与NSAIDは症状を和らげるだけで、化膿性関節炎の治療にはなりません。
- ⑷ 股関節ギプス固定ギプス固定は感染した関節の排膿を行わないため、化膿性関節炎の治療として不適切です。
- ⑸ グルココルチコイドの股関節内注入細菌感染のある関節へのステロイド注入は感染を悪化させるため禁忌です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。乳児が高熱とともに患肢を動かさなくなり(偽性麻痺)、他動運動で強い疼痛を示し、白血球増多、CRP高値、赤沈亢進を認めることから、化膿性股関節炎が考えられます。画像は本文から確認できませんが、MRIで関節液貯留や周囲の炎症所見が想定されます。乳児の化膿性股関節炎は関節軟骨や大腿骨頭の破壊、骨頭壊死を残しやすく、緊急の関節穿刺と切開排膿・洗浄を行い、抗菌薬を投与します。診断と治療の遅れが重い後遺症に直結します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成