56 歳の女性。指先の蒼白化を主訴に来院した。3 か月前から寒いところで指先が白…
56 歳の女性。指先の蒼白化を主訴に来院した。3 か月前から寒いところで指先が白くなることを自覚したため受診した。白くなった後は紫、その後に赤へと変化するという。体温36.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧120/76mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。関節の腫脹や圧痛を認めない。手の写真(No. 6A、B)を別に示す。血液生化学所見:CK 121 U/L(基準41~153)。免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL、抗核抗体640 倍(基準20 以下)、リウマトイド因子〈RF〉86 IU/mL(基準20 未満)、血清補体値(CH50)34 U/mL(基準30~40)、C3 88 mg/dL(基準52~112)、C4 36 mg/dL(基準16~51)。爪郭部のダーモスコピー像(別冊No. 6C)を別に示す。診断はどれか。
- ⑴ 皮膚筋炎皮膚筋炎ではCK上昇や筋力低下、ヘリオトロープ疹などを伴いますが、本例はCKが正常です。
- ⑵ 関節リウマチリウマトイド因子は陽性ですが、関節の腫脹や圧痛がなく、関節リウマチは考えにくいです。
- ⑶ 全身性強皮症Raynaud現象、抗核抗体高値、爪郭部毛細血管異常から全身性強皮症が最も考えられます。
- ⑷ 結節性多発動脈炎結節性多発動脈炎は発熱、体重減少、多臓器の血管炎症状を示し、抗核抗体は通常陰性です。
- ⑸ 抗リン脂質抗体症候群抗リン脂質抗体症候群は血栓症や妊娠合併症が主体で、Raynaud現象と爪郭部所見からの診断には合いません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。寒冷で指先が白→紫→赤と変化するRaynaud現象に、抗核抗体の高値を認め、爪郭部のダーモスコピーで毛細血管の拡張や出血点などの異常が想定されることから、全身性強皮症が考えられます。手の写真では手指の皮膚硬化や浮腫性腫脹、指尖部の潰瘍などを確認するのが一般的です。リウマトイド因子は強皮症でも陽性になることがあり、関節所見がない点から関節リウマチは否定的です。CK正常、補体正常も他疾患を否定する根拠になります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成