受傷後3 か月経過しても筋力の回復がない場合、この患者が自宅療養するにあたり最も…
35 歳の男性。高所からの転落のため救急車で搬入された。現病歴 : 本日、塗装作業中に3 m の高さから転落した際、頸部、背部および腰部を強打した。下肢が動かせないため同僚が救急車を要請した。既往歴 : 15 歳時に急性虫垂炎で手術。生活歴 : 妻、長男および次男と4 人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父親が認知症で加療中である。現 症 : 意識は清明。身長172 cm、体重75 kg。体温36.5 ℃。心拍数84/分、整。血圧130/62mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。頸部から腰部にかけて疼痛を認めた。上肢の筋力は正常である。自力歩行はできない。両腸腰筋と大腿四頭筋の収縮は認められるが、関節運動は認めない。両足関節の自動運動も認めない。臍部から両下肢に感覚障害を認めた。膝蓋腱反射とアキレス腱反射は両側に減弱を認めた。
受傷後3 か月経過しても筋力の回復がない場合、この患者が自宅療養するにあたり最も適切な装具・福祉用具はどれか。
- ⑴ 歩行器下肢の筋力がなく、歩行器を用いた歩行は困難です。
- ⑵ 短下肢装具足関節の機能を補助する装具で、下肢全体の麻痺では歩行できません。
- ⑶ 電動車椅子上肢機能が保たれており、自走できる標準型車椅子で十分です。
- ⑷ 標準型車椅子上肢筋力が正常で、自分で駆動できるため最も適切です。
- ⑸ リフト〈移乗動作介助装置〉上肢筋力で移乗動作が可能であり、必須ではありません。
解説
正解は⑷です。第10胸髄損傷による対麻痺で、受傷後3か月経過しても下肢の筋力回復がない場合、歩行による移動は困難です。一方、上肢の筋力は正常であり、体幹の筋力もある程度保たれているため、自分で駆動できる標準型車椅子が自宅療養での移動手段として最も適切です。電動車椅子は上肢の機能が低下した頸髄損傷患者などに用います。上肢筋力で移乗も可能なため、リフトは必須ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成